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Friday, February 27, 2009

日本巡回少女マンガパワー展図録について


写真は2008年3月、友人で大学教授のフレンチーがフルブライト研究費で来日した際、夏目房之介氏に取材した時のもの。左から息子の海(10歳)、レストラン「エッグファーム」のオーナーのキミさん、フレンチー、彼女の元学生で日本滞在中のマイケル(今回彼女の通訳件研究助手?)、そして夏目氏。(*他の関連写真はここをクリック!Flickr写真サイトにリンクしますよ ^_^)

下記2008年2月14日に日本で発売された「少女マンガパワー!巡回展示会」図録の中に収められた私の原稿の中より「あとがき」部分の抜粋。夏目房之介さんに「あの最後の部分は名文です。感動しました。」と、ほめていただいた(^_^)。たぶんこれからもいろいろ文を書き続けることになると思うけど、こういう風に夏目さんにほめていただくのは、たぶんこれが最初で最後のことだと思うので、記念にここに載せてみます。(*全文はPDF版でここからリンク。Please click here to get the full article (PDF)!「あの部分 ^_^!」以外に興味のある方は、クリックしてみてください。)

少女マンガ!ガールズパワー!: 北米 巡回少女マンガ展示会を終えて 
(A North America Touring Exhibition of Girl’s Power! Shojo Manga!:
Its Contribution & Influence to Visual Pop-Cultural Society)

あとがき(日本巡回に向けて): Toward to the Japan Tour in 2008

日本本土から遠く離れた奄美大島で生まれ育った私にとって、東京はあこがれの地、そして、アメリカ、ヨーロッパははるかかなた夢の世界であった。当時の奄美大島—東京間は、今の日本—米国(例えば成田—サンフランシスコ)よりずっとずっと精神的に遠かったのである。そんな子ども時代、月一で本土より船便で送られてくる月刊マンガ雑誌から得る情報がすべてだった。気が遠くなるような長い夏の一日、白い砂浜の上に一人、遠くに海峡をわたる船を眺めながら、マンガのストーリーに夢を乗せ、はるか未来を夢見る少女だった。そんな私にとって、少女マンガは夢をとどけてくれる唯一の媒体だったのである。うん十年後の今、こうして遠く太平洋を越え、米国で生きていることに感慨を覚える。今思うと少女マンガの夢見る世界が私を外の世界へと駆り立ててくれたのかもしれない。

For me who grew up in Amami Ohshima (island) far from the main land, Japan, Tokyo was an ideal metropolitan. And America and Europe were far way from the reality in my dream. In those days, the distance between Tokyo and Amami was mentally and psychologically farther than that of Japan and the US (e.g. Tokyo and San Francisco). In my childhood, a monthly manga was only media to get the updated information that was shipped to bookstores in Amami from the Mainland Japan. For example, during a long day sometime in summer, I was sitting on white coral beach, looking at a boat in the ocean, and I was dreaming my future with the story of shojo manga. I was one of a dreamy girls as other girls were. For me, it might be the story of shojo manga itself that encouraged and pushed me to go beyond the dreamy line to come to the US.

たかがマンガされどマンガである。「少女」という時代ははるかに遠くなってしまったが、それでも少女マンガは私がかつて夢見る夢子だった少女時代につれもどしてくれる。今はもう初恋の相手の顔を思い出せなくなってしまったが、あの時の切ない気持ちだけは昨日のように思い出せる。かつて等身大の自分自身として読んでいた少女マンガのストーリーを、今度はかつての少女だった私自身を回想しながら懐かしく、そしてほろ苦く読むことができる。そうマンガは読み手の年齢によって、同じストーリーを一度ならず二度も三度も別の状況で読めるおいしいメディアなのである。

Just a manga, however, it is manga. Although my shojo period was far passed away, the shojo manga brings me back to me to the dreaming period when I was a child. I don’t remember the face of my first’s love anymore, but I still remember my own sentimental feeling how I felt for him as it is almost just yesterday. I used to read the story in shojo manga by overlapping my own things. Now I can read the story to cherish my own sweat and bitter memory how I was when I was a girl in those days. Yes, manga is a very delicious media that can repeat to read the same story as a visual novel more than one time depending on the readers’ ages.

Monday, February 23, 2009

2006北米巡回展示会「Shojo Manga! Girls' Power!」報告その5 (9/6-10/4/06):カナダはトロントにて


巡回展示会(Shojo Manga! Girls' Power!)スタート当初、1年間の予定だったのが、シカゴを過ぎたあたりから、メディアに取り上げられる回数(その取り上げられ方)から、周りの反響が大きくなっているのがよくわかった。あちこちの美術館から、自分のところでもと声がかかるようになったのもこの頃である。

1年目の最後の地、ニューヨークはブルックリンのプラット美大で開催した際、国際交流基金のニューヨーク事務所の洲崎所長(2006年当時)からもし興味があるようでしたら、トロントの国際交流基金(JF)が事務所内にとても良いギャラリーを持っているので、そこでも開催してみますか?と打診を受ける。もちろん一も二もなく賛成だけど、展示会開催には時間がかかるので、今6月ですが、いつ頃でしょうか?と回答しておいた。数日後、連絡があり、9月で如何でしょうとのこと。そんなに早く開催できるとは思っていなかったので、びっくり(もちろんうれしい驚き)。お願いすることにした。そしてせっかくなので、2年目の巡回としてツアー延長がここに決定。その後すぐに、トロント以外の巡回地探しに新たに奔走することになるのである。

トロント(並びにナイアガラ瀑布)の様子はここをクリック!

さてさてトロントはどうだったかというと、、、場所はダウンタウンのど真ん中の最高のロケーション。それ以上に、今まで米国で4カ所回ってみて、もちろん各場所でのスタッフの尽力には心から感謝するものの、日本人スタッフと仕事をするのがこんなに楽なんだと初めて感じるくらい、私にとってはありがたい展示会になりました。英語という言葉の壁、そして細かいところで文化の違いを感じていたのだと、トロントでの楽さから、再認識することになりました。(20年近くも米国で暮らしていて、今更言語の壁はないだろうと、つっこみの声が聞こえてきそうですが、何年たってもやはり母国語にはかなわないですよ。それにやはり国民性というか、仕事の仕方というか、いろいろ超えられないものがやはりありますね。)

特に、オープングトークのため、前日にトロント入りした際、JFの久保田さんから「徳先生がもしこの展示に何が不満があるようだったら、徹夜でもみんなで準備しなおそうと話し合ってました。」という言葉に、思わず涙が出そうになるくらいうれしかった。日系カナダ人のび君と二人でラベルの二カ国語表記の訂正等、展示会オープンに直前まで仕事もしました。こういうこともバイリンガルの彼とだからこそ、簡単にできましたが、日本語で話ながら準備できるありがたみをこれほど感じたことはなかったですね。

オープングトークも週の真ん中にもかかわらず、びっくりするくらいの人が200人以上かけつけてくれました。JFの宣伝力にも感心いたしました。(詳細は写真サイトでみてね!)

トロント近くにはナイアガラの滝もあるということで、家族をつれて半分旅行気分でトロント入りしましたが、JFの関係者の方々のおかげで、思い出に残る良い旅となりました。感謝!(上の写真がそれです。ゴミ袋ではありません。さて何でしょう?答えは写真サイト内にありますよ ^_^)

次は再度米国にもどります。それも政治の中心地、ホワイトハウスのある、ワシントンDC、なんと在米日本大使館文化センターでの開催。ここでもいろいろあったのですね、、、

*トロントスター記事

Sunday, February 22, 2009

全造アートMLへの投稿文(2/15/09):「対話型鑑賞教育」と「VTS」の関連 その1

下記川島先生の投稿へのコメントして投稿したものです (2/15/09)。

川島先生 皆様

私の名前が出ていたので、ちょっとびっくり。この私のブログ内のVTS記事のことは、まだほとんどの人には知らせてなく、自分自身で日本の美術教育界で普及しはじめたという「対話型鑑賞教育」と「VTS」の関連を確認してから、このMLでもお知らせしようと思っていたので、、、川島先生のメールに私のブログ記事が既に紹介されていたので、驚いている次第です。さすが早いですね。

ということで、ちょっと私のブログ内容だけでは、誤解があるといけないので、ここに補足させていただくことをお許しください。(長文かと思います。ごめんなさい >_<,,,, 興味のないかたはどうかとばしてください。)

実はこの1月、日本の学校を回っていて、よく耳にしたのが、この「対話型鑑賞教育」という言葉で、このMLでも先の北海道の山崎先生のご紹介のように、頻繁に耳にするようになりました。ざっと内容を聞いたかんじでは、ニューヨーク近代美術館の元美術教育主任であるヤノワイン氏が1990年代にはじめた VTS (Visual Thinking Strategy)と酷似していたので、これとアメリアさんという方が勧める VTC (Visual Thinking Curriculum)との違いを検討していたところです。

正直いって、米国の美術教育界では、ヤノワインはVTSの推進者としてとても有名人です(学校教育の中で彼は鑑賞教育推進のカリスマ的存在で、特に女性の先生の中で絶対的な人気で、米国で一番大きな美術教育学会「NAEA:National Art Education Association」で、彼の講演はいつも一杯でした)。が、アメリアさんのことは正直、少なくとも美術教育界の中では、あまり聞いたことがなかったので、なぜ日本で話題になるのか気になっていました。(日本での関連出版物を読んでいないので、私が無知なだけかもしれません。どうか失礼をお許しください。)

いろいろ調べていますが、今でもこの「VTS: Visual Thinking Strategy」と「VTC (Visual Thinking Curriculum)」の関係が私の中でもよく把握しきれていません。私が想像するに、たぶんヤノワインがNY近代美術館を離れた後、そのVTSを元に、もっとわかりやすく発展させたのが、VTCなのかとも思ったりします。間違っていたらご指摘願います。理論的背景として、VTSが美学者、アビュゲル ハウセンの「美学理論(5つの段階説)」を元に、鑑賞教育プログラムとして発展させたことは、周知の事実ですが、このVTCはハーバード大のプロジェクト0(ゼロ)とも関係しているようなので、ということは、あの超有名人、ハワード ガードナーの「Multiple Intelligence 理論」をバックにしているのかとも考えたりしています。どなたか回答して下さる方がいらっしゃれば、幸いです。もしくは近々日本にいらっしゃるアメリアさんご自身に聞いていただき、ご教示いただけるととても助かります。

実は、米国での鑑賞教育については、愛知教育大の藤江先生の依頼を受けて、だいぶ前(2001年?)に日本語でも原稿を書いたことがあります。この中で DBAE (Discipline-based Art Education: 現在では「Comprehensive Art Education」という名で普及)における鑑賞教育方法について、そしてVTSについても、具体的に解説してありますので、興味のある方は添付PDF原稿をご参照ください。いつか日本語原稿がある程度の数にまとまり、機会がありましたら一冊の本にしたいと思っています(^_^)。(*またVTSの長所と弱点を調べるために、統計でまとめたデーター論文も実はあります。これは院生の時のもので、英文しかありませんが、ご興味のある方はお送りします。お知らせください。)

最後に、今回日本の学校を回ってみて、皆さんが私のことを「まんがの研究」をしている人と誤解されているということを発見しました。少女マンガの巡回展示会をやったりしているのと、最近「Visual Pop-culture (視覚大衆文化)」というテーマで話す事が多いので、そう思われたかもしれませんが、私の研究テーマは元々、認知心理学関連で「こどもの描画に現れる認知と美学の発展の文化的比較」です(笑)。その比較の中で、特に空間を構築する際に、日本のこどもの表現方法が特異的で、その理由のひとつとして、米国の美術教育で今最もトレンドなテーマ「Visual Pop-Culture (視覚大衆文化)」の影響、つまり日本では、「マンガ」がその最たるものということで、ふかーいマンガの道に足を踏み込んでしまったわけです(>_<,,,)。

つまり、マンガが、こどもの認知や社会にどのような影響を与えているのか、と調べ始めて現在にいたっていますが、あくまでも発達に影響を与える理由のひとつとしての「マンガ」の特徴研究です。ということで、私の永遠の研究テーマは今でも「描画をもとにした認知発達比較論」で、私が実際に大学で指導しているのは、その研究に関連づけて、「美術教育カリキュラム理論と実践」と「鑑賞教育学」です。

すみませーん。どうでもよい話しなのですが(笑)、「まんが研究者」とレッテルを貼られるのは、少々不本意なのと(真のマンガ研究者に対して失礼なので)、ここに訂正させていただくことをどうかお許しください。本当にどうでも良い話しですね。長文大変失礼いたしました。

*下記、VTSの取材記事とそれにコメントを付けたブログです。(川島先生のメールを読む前に書きましたので、ちょっと前後していますが、そのままにしてあります。)

対話型鑑賞教育について(徳ブログ「Visual Pop-Culture」2/2原稿):http://visualpopculture.blogspot.com/search/label/対話型鑑賞教育%20%28VTS%29

*下記サイト、ヤノワインのVTS並びに執筆本紹介のサイトです。良い本です。ご参考まで。

VTS (Visual Thinking Strategies) ホームページ

フィリップ ヤノワイン (Philip Yenawine) の本紹介例 (Click here to access examples of Yenawine's publications!)

アメリア アレナス (Amelia Arenas) 情報 (Click here to access examples of Arenas' information!)

それではそれでは、お騒がせしました。

徳 雅美 拝

全造アートMLへの投稿文(2/16/09):「対話型鑑賞教育」と「VTS」の関連 その2

下記の文は川島先生へ返答の形で投稿した返答文です。

川島先生 皆様 (2/16/09)

いえいえ、よく私のブログからVTSの原稿を見つけ出されたなあと、むしろ感嘆の驚きです。ブログですので一般にオープンです。どうかご心配なく。(まだ更新途中ですので、見るたびに違うという事になるかもしれませんが ^_^)

先生の新たに見つけられたVTSのサイトですが、ざっと見た限り、これは東海岸のVTS普及グループの宣伝用情報かと思います。ヤノワインがはじめたVTSですが、米国各地(中西部から東部が中心)で啓蒙活動をされて、各地にそれぞれ中心になる学校(先生)がいらっしゃるようですね。このサイトに限って言えば、K−5thG(つまり幼稚園から5年生)まで、VTSを推進した結果、リテラシー教育にどのようにプラスの効果があったかをデータで示しています。VTSを使わないグループと、使った場合の2グループで、読み書き能力全国テストの結果でどちらが高い成績を収めたかと、VTSの効果を唱っています。

さて、これは鑑賞教育です。懸命なZenzo-artの皆さんは、ここで、鑑賞教育の意味あいが、米国(たぶん西洋全般?)と日本とかなり違うことに気付かれるのではないでしょうか。日本の場合(私が思うに)全てではないでしょうが、「鑑賞教育=感性教育」に少なくとも今までは、重きを置いていたのではないでしょうか。米国の場合、「鑑賞教育=リテラシー教育」、そして最後に「感性を高める方向に持って行ければ恩の時」という感じで、段階的に鑑賞教育のゴールを設定しています。

それでは、なぜ「鑑賞教育」が「感性教育」に直結しないのか?日本と米国社会の違いがあります。日本と異なり、多民族の米国では「感性」はそれぞれの所属する文化によって、異なって育まれるという前提があります。感性の発達は各自の美的経験(Aesthetic Experience)によって異なると、理論的に表現しますが、、、つまり各自の美的経験はそれぞれの属する文化や社会によって異なるのだから、多民族国家の米国では共通の感性を高める教育は理論的に無理であるということにつながりますね。

そしてなおかつ、ここが大切ですが、感性が高まったかどうかをどうやって客観的に計るのかということです。日本では経験でわかるとおっしゃるかもしれませんが、それは米国では通じないのですね。多民族を超えた共通の言語で明確に証明しなければいけません。先のVTSが、統計的に読み書き能力テストを使って、その効果を証明したようにです。

さて、対話型鑑賞教育のもどりますね。VTC (もしくはVTS)を日本で「対話型」と訳されていますが、そもそも米国では「対話型」が主流で、対話形式の方法論はVTC やVTSに限らず、数多く存在します。問題はその対話の方法論で、そこにVTSや VTCの価値があるのではないかと思います。(そういう意味でこのVTCをイコール「対話型」とするには、私はちょっとひっかかったのですね。でも他意はありませんので、失礼をどうかお許しください。その国の文化を見ながら翻訳していかなければいけないのは、よくわかりますので、日本ではその方が通りが良いという事でしょう、、^_^)

そこで、問題になるのが、では米国での通常の「対話型」というのはどういう方法論(内容)だったのかというところでしょう。ご存知(?)のように、米国ではNational Curriculumは存在せず、各州、もしくは各地域によって、教育の中身も異なってきます。が、不思議と、美術教育の中身を見る限り、日本以上に、理論的に統一された方法論で勧められていて、その中心になるのがやはり1980年代に全米に普及した学力に直結する美術教育=DBAE 理論(Discipline based art Education: Art-making, Art history, Criticism, and Aestheticsの4つの理念を常に考慮してカリキュラムを作成)です。その理念のひとつ「Criticism(直訳すると「批評」ですが、日本語的には「分析」とした方が通りがよいかもしれません)」のところで、活躍するのが「Elements of Art 」と「Principle of Design」というアートの基礎構成要素の概念であり、それでアートを分析する方法です。このアート言語を使ってアートを鑑賞/批評するという方法が、学校の中ではやはり(今でも)主流を占めているのですね。(もちろん私も使っています。)

それに異を唱えたのが、ヤノワインだったのです。そんな誰も本当は気にもしないような(大人が使う)アート言語で鑑賞するのではなく、もっと素直に何が見えるかを子ども達に問いかけることで 「What do you see in this picture?」、アートを鑑賞しようではないか。そしてそれに対してなぜそう見えるのか「Why do you see it?」を聞くのはやめよう。その答えは「I don’t know ...」にしかつながらない。そこで、会話は終わってしまうだろう。そのかわり「What made you say that?(何でそう見えたの)」と話しを続けて、子ども達の発見する喜び、そしてそれを言葉で表現することにより、コミュニケーション能力を高めていこうではないか、、、、とまあ、こんな感じですね。(*その彼の方法論の理論的バックになるのがアビゲルハウセンの美学理論の5つの段階説になります。)

等々、、、書き出すときりがないので、駄文はこのへんでやめにしときます。今後ブログでもこういった米国の(現場の)教育状況を少しづつお知らせしていきたいと思います。今回はこのようにMLで長々と書いてしまいましたこと、どうかお許しくださいね。

最後に、日本の美術教育を俯瞰していて、やはり外からいろんな方法論を持って来た時に、理論的説明というか、その国でなぜそのようなプロジェクトが生まれたのかの根本的なことがすっぽり抜けて、方法論だけが現場で流布しがちな気がします(私の感じですので、一つ一つについては本来はそうでないと思いますが、あくまでも米国と比較しての全体的印象ですので、間違っていたらごめんなさい。)

これもなぜかなああとつらつら考えるに、日本は単一民族(本当はそうでないですが)なので、そういった理論をぐちぐち言わなくても、言葉に出さなくても、みんなわかるはずという(無意識の)共通概念が存在するのではないかと思います。米国ではやはりそういうわけにはいかないので、やはり言葉で理論づける必要があるのですね。それは教科書にもよく現れているかと思います。

うっこれまた話しがながーくなりそうなので(米国の美術教育そのものの内容までさかのぼらなければいけなくなるので)、このへんでお開きに。

今後こういった長文で皆さんのご迷惑をおかけしないようにいたしますね。長文大変失礼いたしました (>_<,,,)。 カリフォルニア州立大学23キャンパス全体(約50万の学生がいます)で100ミリオン(約100億)の経費削減がありました。今年はさらにその上5%の削減です。州立とはいえ、大学運営も楽ではありません。大学全体の空気が重く、いつまでこの状態が続くのかと今後のことを考えると少し憂鬱です。それでも私たちは生きていかなければいけませんし、こどもたちの未来のために美術教育の存続をかけてがんばらなければ行けないのだと思う今日この頃です。 それではそれでは。 徳 雅美 拝 


From: Makio Kawashima
Date: Mon, 16 Feb 2009 21:23:18 +0900
Subject: [zenzo-art] 「対話型鑑賞教育」と「VTS」の関連

徳先生

いつもご指導、ご返事をありがとうございます。
私自身も、VTSを知りたくて検索していたとき、偶然に徳先生のブログを拝見しました。

皆様へご紹介前に、まず先生にご連絡をさしあげればよかったですね、お許し下さい。


これも、VTSの一部ですが、語学の壁であまり理解できませんでした。
http://www.vtshome.org/system/resources/0000/0057/VTS_Brochure_06_08.pdf

徳先生のブログやメールでの解説は、とても学識的で、わかりやすく感じました。
このMLの方も、徳先生のグローバルで多面的な情報に感謝していると思います。
今後とも、よろしくお願いします。

川島真紀雄
http://www.edogawaku.ed.jp/shinozakis/Appreciation.html

Saturday, February 21, 2009

2006北米巡回展示会「Shojo Manga! Girls' Power!」報告その4 (6/1-6/29/06):ニューヨークはブルックリンにて



夏のスタートと共に展示会はいよいよニューヨークへ、、、

実はここでの開催についてもいろいろあったのですね。最初はNYでのサイトディレクター(各展示開催地での責任者)であるマイケル(Dr. Michael Bitz)の大学でもある私大の名門教育大学、Teachers' College Columbia Universityの図書館のギャラリースペースで開催する予定で話しを進めていたのだが、当時図書館の館長が新しい人に代わり、展示の内容を「子ども達の絵を中心に、それに影響を与えたマンガ家たちの絵」をという方向に主旨替えを要求されることになった。もちろんそういうのは受け入れ難いので、なんとか最初の目的(少女マンガを通して日本のマンガの多様性と価値を紹介)に戻しての展示をと交渉を続けるものの、受け入れてもらえず、2者択一を迫られる事に。つまり主旨替えをしての展示か、それともあきらめるか?

言いにくそうに説明するマイケルに私は迷いはなく、「オッケーやめるね。そういう方向での展示はやっぱりできないよ〜。」とあっさり。そこでマイケル「僕に1週間くれないか?別を探してみるから!」と。いや〜本当に彼は探してきたのですね。それも美大の名門、Pratt Instituteのギャラリーを。
夏休みの大学ギャラリーでの開催はそれでも、集客率は低くなる。当然ニューヨークでもブルックリンでの開催だったので、最初の出足はゆっくり。でも新聞等で紹介してもらえたので、聞きつけた人たちが次第に多く集まるようになり、結果オーライになり、本当にホットでした。

個人的には、助成金を出してくれた国際交流基金ニューヨーク事務所やNY領事館の方々がオープニングに来てくださり(もちシカゴの美大時代の友人達、美香ちゃんや愛ちゃんも ^_^)、とても良いオープニングを開催することができました。さらにさらに、ここでのご縁がきっかけで、その秋の南米講演に招かれることにもつながるのですね。それはまた別の話しですが、、、ある程度がんばってだめだと思うと、良くも悪くも、あっさりと引いてしまう私ですが、今回ばかりはマイケルの一言でつながった展示会でした。本当に彼には感謝だなあ。これをきっかけにまた研究仲間として彼との縁が深まって行く事になります。これもまた後の話しで、、、


2006北米巡回展示会「Shojo Manga! Girls' Power!」報告その3 (3/13-4/26/06):シカゴにて:ニューメキシコ大学にて



ポストカードPost card 各サイトで展示会用ポストカードを作成。シカゴでの招待カードの使用イメージは水野英子氏「ハロードック」から)

展示会はいよいよシカゴへ。美大時代を過ごしたシカゴ、だんなのジョンの故郷でもあるシカゴ、そして NAEA (National Art Education Association)の学会にあわせての開催。がんばらなきゃあとワクワク!ところがところが、いろいろあったのですね。開催までの血と汗と涙の物語が。

*メディアからの紹介の参考例は下記をクリック(Following is media information ^_^)

最初の予定では母校でもあるThe School of the Art Institute of Chicago (シカゴ美術学院)のギャラリーで展示会をと、同学院の美術教育教授で友人でもあるケビン(Dr. Kevin Tavin: 彼はこの数年後名門オハイオ州立大学に移ることになるのですが、、、)段取りをつけてくれていたので、喜んでいたのです。が、、、彼がサバティカルで留守にしている間に、使用予定のギャラリーが更新工事のため、使用できないことに。その連絡がケビンには伝わっておらず、サバティカル研究から帰ってきた彼は事の次第にパニック。開催のための最終打ち合わせをと、メール連絡をしても、なかなかメールがもどってこない彼に、「ちょっとこれは何かあったなあ」と女の感(笑)。これが不幸にもあたってしまうことに。平謝りで「どうにか今別をあたってるから少し待ってくれ!」の彼の言葉を信じて待つも、なかなか連絡が来ず、最終的には「I'm so sorry」の一言で白紙に。うわあ!どうしよう。

普通だったらあきらめるところだけど、まだ開催には半年(もうだけど)あったし、シカゴは自分にとって美大時代を過ごした地元。地の利はよくしっているので、絶対代わりを見つけられると、確信のようなものが不思議とありましたね。ジョンとインターネットで美大のギャラリースケジュールをリサーチすること数日、同時期にまだ予定がアップされていない数カ所のギャラリーにメールでコンタクト。なんとすべてから「ぜひうちで」というありがたい申し出を受け、メールを出したその日の内に連絡がきたやはり老舗の美大である Columbia College Chicago での開催が可能になりました。正式に契約書にサインした時には涙が出ましたね。

結果ですが、シカゴ美術学院でなくで、ここでのギャラリーでの開催は正解でした。シカゴ美術学院は美大の名門ですが、学院のギャラリーは美術館の裏側からのアクセスで地の利はそれほどよくない。それに比べてコロンビアカレッジのギャラリーはダウンタウンのど真ん中で、それもガラス張りのショールームが24時間ライティングされ、往来をゆく人々の目をうまく惹くようにセッティングされていて、集客率は最高でした。

メディアの反応もここでブレイクすることに。名門新聞のシカゴトリビューン、シカゴサンタイムズ、ローカルの新聞&雑誌多数、そしてシカゴトリビューンの教育TVで特集してくれ、よかったよかった。この後の展示会はあちこちでメディアに取り上げてもらい、スタート当時の心配はどこへ、といった状況になるのですが、この時はまだそこまでは予見できていない状態で、毎回一杯一杯の感じでしたね。

あっそうそうNAEA参加の美術教育関係の方々もオープニングにたくさん来てくださいましたよ。みなさんありがとね。日本からは岡山の赤木先生や森先生も共同発表でいらしてくださり、会場では日本からの漫画家と間違えられたりと、、、(笑)。それなのに、さっとお二人はマンガを皆の前で描いたりして喝采を浴びておられました。さすが〜日本の美術の先生方と思った物です。あ〜この後もまた波乱が待っているのかしら。

(*この展示会からチコの街にもどった翌日、日本から父他界の連絡。ずっと療養中だった父。今思うと私の仕事の目処がつくのを、そしてサクラの時期まで待って逝ってくれたのでしょうか。日本に入ってみた中野通りの夜桜の美しさを私は一生忘れられない気がします。余談です。)


2006北米巡回展示会「Shojo Manga! Girls' Power!」報告その2 (1/23-2/17/06):ニューメキシコ大学にて


さてさてチコを皮切りにスタートした巡回展示会は西から東へと大陸を横断する形で巡回することに。2番目の開催地はニューメキシコ州、ネィティブアメリカン、特にブエブロの土地で有名なアルバカーキーへ。州の名門ニューメキシコ大学の美術教育ギャラリーでの展示会開催ということになりました。ここでのサイトディレクター(各巡回地での責任者)は美術教育仲間でもあるナンシー (Dr. Nancy Pauly)。彼女とは米国の美術教育学会 NAEA (National Art Education Association)で知り合ったのがきっかけ。彼女のVisual Pop-Culture 関連の発表の内容にほれこんでいて、話しをしたのがきっかけ。その後展示会の話しを持ち込んだら、彼女がなんと美術教育関連ギャラリーの責任者ということで、すっーと決まったんですね。この巡回展示会の開催地を探すのに苦労していた私は本当にうれしかったのを今でもおぼえています。(今ではあちこちから開催のお誘いを受けますが、当初は米国ではマンガなんてと相手にもされなかったの。今では信じられないでしょうが、、、)



ここのギャラリーは他の開催地と比べても一番小さなスペースで23人の作家さんお一人につき2枚のパネル(一枚が約1m1m)を用意していたのですが、スペースがないということで一枚だけの展示に。

でもここでは大学の授業とリンクして多様な専門(日本語学、比較文化学、ジェンダー学、もちろん美術教育学、その他)の授業の中で、展示会を使ってもらえたのがとてもよかった。展示会開催の目的の一つ、大学美術館で開催し、無料で公共に公開することによって、まんがを知らない人たちにもその多様性と価値を理解してもらうこと。さらに大学の授業で課題としてマンガをテーマに学ぶことによって、マンガに興味がなかった人たちも、より深く、そしてより広く、そして願わくば、学んだ学生達が全米中に広がることによって、マンガの評価もまた広がってくれると良いいなあ、、、等々と考えていたのですね。

そういう意味でも、ここでの開催ははでではありませんでしたが、一番私の当初の目的に叶った形での開催となりました。ニューメキシコの地はまた独特の雰囲気があり、ずっときたかったところだったので、この展示会をきっかけに訪問することができ、とても良い旅になりました。

(もちろんハプニングもありましたよ。送付したアクリル板強化ガラスのパネルがシッピングの扱いが乱暴だったのでしょうね。7枚程割れており、保険等で最終的にカバーしてもらいましたが、展示の前にばたばたしました。また2箱にわけて送付した図録の内、1箱が水濡れプラスぼろぼろの状態で届いていましたよ。これは1年もかけて保険交渉をしましたが、担当者がのらくらとして、結局あきらめました。それ以来、私は大切なものはUPSを使っていません。)

2005北米巡回展示会「Shojo Manga! Girls' Power!」報告その1 (10/26-12/14/05):チコよりスタート


カリフォルニア州立大学チコ校より米国巡回展示会(2005-2006)が国際交流基金助成金(LA展示会&NY学会)のおかげで、2年間の準備期間を経て、スタート!巡回最初の地、地元ということもあって、展示会にあわせて、いろいろ関連イベントを開催することができました。オープニングには米国内外からゲストスピーカーを招待してのオープニングシンポジウム。その中には米国へマンガの価値を初めて紹介した本を出版したことで著名なフレデリック ショット氏や少女コミックライターで研究家でもあるトリナ ロビン女史、そしてそして川崎市市民ミュージアムの学芸員で少女マンガ研究家のヤマダトモコさんも。クロージングシンポジウムにはなんと藤本由香里さんや竹宮恵子さんにもおいでいただきましたよ。今思っても豪華でなメンツです。多忙な中のご参加本当に感謝です。(*チコでの展示会の様子はここをクリック!少女マンガサイトに飛びます。その時の様子を御覧くださいね。

いろいろメディアでも紹介されました。下記参考まで。


図録も多くの方の貢献で出版することができました。80頁の前半分は10人の専門家による「マンガ」を含むVisual Pop-cultureについての論文集。そして後半は23人の作家さんのプロフィールや作品紹介です。日本のヴィジュアル ポップカルチャーの入門書になれば幸いです。



Exhibition Catalogue Poster 
(展示会カタログ宣伝ポスターよりイメージ抜粋「ベルサイユの薔薇(池田理代子作)」)
(80 pp. colors & black/white. Cover image is from Riyoko Ikeda) published in CSU-Chico
Sponsored by the Japan Foundation (Order: Click here ^_^!)

The catalogue is unique, divided into two parts. In the first part scholars and critics from Japan and the US discuss the phenomenon of Japanese manga and its influence in US society. Each contributor has written a short article on Japanese visual pop culture from the perspective of their research in their own fields. The second part contains information about each shojo manga artist who has contributed to the exhibition, including historical background, characteristics of the artworks, and the artist’s philosophy as expressed through manga. In this part the shojo manga artists are divided chronologically into three main epochs from post W.W. II to the present: 1) Dawn of shojo manga, 2) The diversity of girls’ manga, and 3) The new generation and new directions in shojo manga. We hope that you enjoy exploring the historical and cultural changes that took place in the shojo manga of each period in response to the social changes experienced by females in Japan during those same periods.

少女マンガ展図録は2つの内容に大別されています。 日本マンガやポップカルチャーに見識のある方々の論文集、 一つは23人の作家の方々の作品紹介とプロフィール。また作家紹介の部分は、3つの時期に分けてまとめられています1)近代少女マンガの夜明け時代、 2)近代少女マンガの多様化の時代、そして 3)次世代少女マンガ時代へ。

Friday, February 20, 2009

米国巡回少女マンガ展示会:ヴィジュアルカルチャーと美術教育 (May 2006)


下記2006年に2回続けて日文のFormに書かせてもらった原稿の後半5月号からの抜粋です。(*全文はPDF版で、ここをクリックして御覧ください  ^_^!)


米国巡回少女マンガ展示会:ヴィジュアルカルチャーと美術教育 (May 2006)

 昨年10月から北カリフォルニアのチコの街を皮切りに全米を西から東へと横断する形で米国巡回少女マンガ展示会「Shojo Manga! Girl Power!: What can shojo manga tell you? (少女マンガ!少女の力!:少女マンガは何を語るか?)」を開催している1)。なぜ今米国で「少女マンガ展」なのか?開催へのいきさつと美術教育との関連性についてこの場を借りて紹介させていただきたい。

米国のマンガ事情

日本の「漫画● まんが●マンガ」から世界のMANGAになったと言われて久しい。1980年代アジアでの海賊版の隆盛からヨーロッパへ、そして21世紀初頭現在、米国市場においてすら、日本のマンガが元ネタであると明らかにわかる商品であふれている。またマンガ関連の展示会も盛んである2)。しかし、日本のマンガが近代マンガとして発展してきた歴史的背景、特徴、そして社会における影響等についてその価値が正しく認識されているかどうかは、かなり疑問である。そこで、日本近代マンガの大きな特徴のひとつである「少女マンガ」に焦点を当てた展示会を開催することにより、他のコミック(例えばアメリカンコミック)と異なる日本マンガの特異性とその価値を広く紹介したいと考えるようになった。

少女マンガ展示会概要と背景 .........
.................. (省略)..........

こどもの描画発達とマンガの影響

 さて、そもそもなぜ一大学教員に過ぎない私がマンガ展示会を開催するに至ったのか。そのことを不思議に思う人も多いらしく、同様の質問を何度か受け取った。理由はいろいろあるが、そのきっかけは10年程前に遡る。当時「日米のこどもの描画比較研究」に取り組んでいたが、その結果から美術教育学において、一般的に言及されている「こどもの描画発達の普遍性の理論4」に異議を唱えることになった。その根拠となったのが、他国のこどもたちの描画には見られない、日本人のこどもの描画上にのみ顕著に現われるマンガの影響である。それは単に人物表現のみならず、空間の表現方法に、その顕著な差が見られた。描画の発達理論における文化的特異性の問題、またこどもの描画に影響を与える美意識の発達という観点から、日本のこどもたちの描画に最も影響を与えたマンガに興味を持ち、他のメディア媒体(例えばアニメや米国のコミックなど)と比較しながらマンガの特異性とは何なのか、を研究していくことになった。我々を取り巻くこの世界に多くのメディアが存在する中でなぜマンガなのか、またマンガの影響とはどういった形でこどもたちの描画にそして認知の発達課程で現われるのか等々興味はつきない。結果、かつて少女マンガの読み手の一人に過ぎなかった私が、マンガの世界に深く拘わることになり、米国においてまだ評価されるに至っていない、少女マンガの価値と少女マンガ家の貢献を紹介したいと考えるようになったのである。.............................

日米美術教育事情:カリフォルニア州美術教育プログラムを元に (Feb. 2006)


下記2006年に2回続けて日文のFormに書かせてもらった原稿の抜粋です。(*全文にはPDFでここをクリックするとリンクします。

日米美術教育事情:カリフォルニア州美術教育プログラムを元に 

徳 雅美
カリフォルニア州立大学チコ校

日本状況米国の事情

インターネットの普及の おかげで、ここカリフォルニアの地にいても、リアルタイムで日本の情報が手に入る。今日本における美術教育の行方が気になる。中学における美術教育は本当に選択制になってしまうのか。「ゆとり教育」への変換、「総合教育」の導入、それに伴う科目時間数削減から、とうとうこの日がきたかという感は拭えない 。今の日本の状況は米国の美術教育が存亡の危機にたたされた1960年代に良く似ている。 当時の米国は教育改革に揺れ、そのあおりを受けた美術教育は他教科との競合において瀕死の状態にあり、存在をかけて理念の見直しを迫られていた。結局米国の美術教育がとった方向は、職業訓練的な技術教育でもなく観念的な感性の教育でもない、 ディスプリン教育という形で その存続 に活路を見出した。DBAE (Discipline-based Art Education) 1)である。他の多くの理念と同様、このDBAEに関しても賛否両論はあったものの、1980年代から米国全土に普及し、現在も Comprehensive (Discipline-based) Art Education 2) と名を変えながら、米国ほとんどの州でスタンダードと融合した基盤理念として現在も存続している。2004年に発行されたナショナルスタンダード3) の中心理念にもその影響が強く現れている。  

現在かつての米国のように、存続の危機に立たされている日本の美術教育は、その理念をどこに置こうとしているのだろう。他科目との関連において、明確なディスプリンを元に学年を通じて同方向性連続性を持つ科目にするのか、それとも従来のような美術教育しか成し得ない「感性の教育」としてのビジョンを押し通すことができるのか。それともこれらを融合した形にするのか。また段階的にその達成レベルを評価できる科目にできるのか。そもそも統一した理念を見いだせるのか。 いずれにしろ日本の美術教育理念の方向性に拘わらず、 他教科との競争において一定の授業時間を確保するためには、 美術教育の意義目標を明確にそして有効に表明しえる 教師自身のプレゼンテーション能力が問われることは間違いないだろう。さて現在の米国の 美術教育はどうなっているのだろう。



Monday, February 16, 2009

米国における鑑賞教育の在り方と実践事例 (2001)


*これは2001年にProf. Fujien依頼を受けて造形教育実践全集(日本教育センター出版)に掲載した鑑賞教育の事例研究報告で、DBAE と VTSの鑑賞教育方法の相違点を言及しようとしたものですが、、、うまく出来たかどうかは、皆さんのご判断におまかせします。

●学習題名
—米国における鑑賞教育の在り方と実践事例—
●執筆者名
徳 雅美
カリフォルニア州立大学チコ校
●学年、活動内容区分
中学1〜3年(7th〜9th grade)/鑑賞活動

●事例概略
 米国の学校教育における鑑賞教育の在り方を日本の鑑賞教育と比較し、また具体的にどのように鑑賞教育が行われているのかをDBAEと VTS理論の比較を通して検討していきたい。文化的背景の異なる米国における鑑賞教育ではあるが、その現状を検証することは、今後の日本における鑑賞教育の意義を再認識することにもなると信じている。

1 はじめに(米国における鑑賞教育の在り方)
 昨今、美術教育における鑑賞教育の重要性がさかんに語られ、また方法論においてもその可能性が言及されている。しかし、「鑑賞」という言葉のもつ多義性から鑑賞教育の定義が決定されていないのもまた事実である。美術教育における鑑賞教育とはいったいどういう教育なのであろうか。芸術を鑑賞する際に起きるであろう美的感性を高めるための教育なのか、芸術を理解するための知的能力を高めるための教育なのであろうか。またこの両義を含んでいるのか。

 「鑑賞」という言葉を英語に訳すと「アプリシエーション(Appreciation)」註1)となるようだが、その言葉の中には「鑑賞する(見て楽しむ)」という意味と同時に「考える」という意が含まれている。米国でいうところの鑑賞教育は「感じさせる」のではなく「考えさせる」教育ということができる。その語意を反映するかのように、現在米国において一般的に行われている鑑賞教育は、一言でいうとヴィジュアルリテラシー(Visual
Literacy) を高めるための教育であると言及できる。直訳すると「視覚読み書き能力」となるが、これには二つの定義がある。一つは芸術に接した時、その芸術作品を批評理解する能力註2)であり、視覚思考能力(Visual Thinking Ability)とも言い替えることができる。一つは芸術を鑑賞した時の嗜好の要因を自分の言葉で表わすことができる能力註3)である。第二ので定義については「なぜ私はこの作品が好きでこの作品は好きでないのか」を思考し、さらに自分の言葉で表現できる能力といえる。

2 米国の学校教育における鑑賞教育の事例

 具体的にどのような「鑑賞教育」が米国において、一般的に実施されているのだろうか。日本と異なり、国定の「学習指導要領」を元にしたカリキュラムなど存在しない米国において、一般的な「鑑賞教育」方法を指摘するのは至難といわざるをえない。が、米国において最も広く浸透している美術教育理論であるDBAE(ディーヴィーエーイーと発音)における鑑賞教育の捉え方と、実践において最近富に評価されているVTS(ヴィティーエスと発音)を比較することによって、米国における鑑賞教育の実態を紹介してみたい。

...... 続きはここをクリックして本文(PDF)へ!

Sunday, February 8, 2009

学校訪問:札幌にて

南は奄美大島からスタートして、熊本、東京、福島、そしてとうとう北海道へ。冬の北海道は初めてなのでわくわく。森實先生のいる札幌は三角山小学校へ。先生とは2005年夏、日文(日本文京出版)主催の美術教育フォーラムで初めてお会いして以来、いろいろお世話になっていましたが、昨年秋チコで立ち上げた4コマ漫画アート展示会に先生の生徒さんも参加してくださったので、そのお礼も兼ねて、生徒さんに会いにやってきましたよ。今日は一日見学の予定。さてさて私自身何を発見できるかな。
最初は鑑賞教育の授業を拝見。「アートカード(北海道の作品も含めて」のアート葉書を利用して、生徒さんはストーリをグループ毎に組み立て発表していました。アート作品を使って、自分なりに作品の意味と特徴を解釈して、文語りを作り、みんなの前で発表していくという、こどもたちのビジュアルリテラシー(視覚読み取り能力)を高める、具体的かつ実践的な方法ですね。。図画工作の中ではなく、国語の授業の中の展開として実施していたのが、印象深かったですね。米国で他の学科の中で、方法論としてよくアートが使われていますが、日本では学科ごとに明確に別れているという印象を受けたので、森實さんのこの実践はちょっと驚き(もちろん良い意味で ^_^)。これこそ 「Education through Art (アートを通しての教育)」ですね。



その後、こどもの表現力(絵の発達)がどのように年齢とともに変化していくのかを、みなさんと同じ5年生の息子の海の発達とともに、紹介しました。発達の中で、どういう風に自分たちが外からの影響を受けているのか、そしてそれが絵の中に現れているのか。みんな目を輝かせていましたね。「えっそうなの?知らなかった!」と思った人も多かったんではないかな?もちろん米国での展示会の様子や(影響力の最たるもの)マンガがどのように世界で広がっているかの紹介もしましたよ。そしてそして、最後は音楽の時間。皆さんが楽器演奏と合唱をしてくれました。「ひとりじゃないよ。困った時には先生がいる、友達がいる、、、、」という歌詞に、おもわず泣けてしょうがなかったです。一月の間、日本で一人旅を続けていたので、少々ホームシックだったかも。明日はいよいよチコの街に帰ります。またいつか北海道にもどってきますね。皆さん本当にありがとう。


(写真サイトの右肩「Slideshow」をクリックすると全ての写真のスライドショーがスタートしますよ。)


学校訪問:郡山&福島にて (1/15 &16/09)

小野浩二先生のいる福島県郡山市立芳山小学校に行って来た。小野先生とは、だいぶ前に福島大学の渡邊先生に呼ばれて「わくわくJr.カレッジ」という高校生対象の教育イベントで話させていただいた時に、お忙しい中、聞きにきてくださり、それ以来情報を提供していただいたりと、いろいろお世話になっている。「4コマ漫画アート」でも先生に無理をいって5年生の生徒さんに参加していただいた。今回はやはりそのお礼もかねて、どんな生徒さんが作品を提供してくださったのか、そしてどういう環境で学んでいるのか、それをどうしても見たく、やってきた。

そして先生の授業も見学。現在のアニメの元となるアイディアは昔からある。それの一つパラパラ(紙の中に少しずつ変化させた絵を描き、それをバラバラとめくると連続した動きが見れる)をこどもたちが作成。よくあるアイディアなんだけど、小野先生の違うところは、作品をめくっている様子をビデオで取り、PPT(パワーポイント)に取り込んで、グループ作成として、こどもたちに発表させているところ。一人一人一生懸命発表しているところがとても微笑ましい (^_^)。そしてそして実はこのカリキュラムは、次の大きなプロジェクトであるコンピューターソフトを使ってのアニメ作りの導入カリキュラムとして段階的に組んでいらっしゃるところ。(さすがですね!!!)

その日は、渡邊先生のお知り合いの温泉宿で宴会ならぬ日米の美術教育談義で花が咲きました (^_6)!

郡山&福島滞在中の思い出写真はここをクリック!(写真サイトの右肩「Slideshow」をクリックするとスライドショーがスタートしますよ。)

翌日は渡邊先生に大日本印刷所有のプリント(版画)美術館「CCGA現代グラフィックアートセンター」へ行ってきました。冬期閉館中のところ、私たちのために開けてくださいましたこと、感謝です。なんとなんとです。正直こんなにすごいコレクションがあるとは夢にも思いませんでした。私の大好きなリヒテンシュタインのプリントなど、20世紀巨匠の版画がずらりと貯蔵庫に保管されていました。公共の美術館ではない、一企業がこれだけの作品を所蔵しているとは、いやー本当に徳をしました。良い物を見せていただきました。

学校訪問:熊本にて (1/13 & 14/09)








熊本滞在中の写真はここをクリック!美術館訪問、学校訪問 (W西尾先生)、熊本城、その他いろいろです。(クリック先の写真サイトの右肩「Slideshow」を再度クリックするとスライドショーがスタートします。Enjoy ^_^!)



「人良し。宿よし。食良し(もちろんお酒も ^_^)。」熊本に来て本当によかった〜。思いがけずというと失礼でしょうか。でも本当に思いがけず、最高の思いをさせていただきました。

日本に帰国する前、熊本行きを西尾(隆一)先生にご連絡をしていた。しばらくしてメールをいただき「徳先生。お酒は大丈夫ですか?」と聞かれる。年末年始に奄美の実家でのんびりしていたせいか、脳がすっかりゆるんでしまい、「大好きで〜す。」という能天気な返事をしておいた。

その日(1/13)は京都から新幹線でのんびりと車窓を眺めながら西日本縦断を経て、九州へそして熊本へ入るというなんともぜいたくな旅程。(*実は外人&海外在住の日本人専用のJRパスというのがあり、それを利用して安上がりの旅。のぞみ以外の新幹線も含め、すべてのJRが乗れるというもの。1週間乗り降り自由で¥28,300円というお得なパス)

熊本駅には西尾先生がわざわざ迎えにきてくださり、県立美術館で熊本県内の先生方が学校参加の作品の展示をやっていらっしゃるということ。学校訪問は翌日ということで、その日は美術館へ。そして夜の大宴会へ。(写真がそれです。皆さん良いお顔 ^_^)

W西尾(隆一&環)先生のご人徳でしょうか、素晴らしいメンバーに出迎えてもらいました。特に前々から機会があれば是非にと思っていた「三大美術教科書(開隆堂&日文&光村)」の方々に、まさか熊本でお会い出来るとは思っていなかったので、本当にうれしかったです。お忙しい中、福岡からまでお越しいただき感謝。日米の美術教育事情並びに思いがけず、少女マンガでも話しが大いに盛り上がり、大変楽しい時を過ごす事ができました。多謝多謝!

翌日は桜山中学校を訪問させていただきました。隆一先生の授業見学の後、米国での巡回展示会報告を中学生の皆さんの前で報告。その後、感想を書いてもらったのですが、早速4コママンガで書いてくれた生徒さんも。うれしかった。最初の予定ではその日に、熊本を離れ、別件で京都にもどる予定が、あまりにも楽しかったのと宿がよかったので、急遽もう一泊することに。おかげで、西尾(隆一)先生の特別ガイドで、加藤清正さんの熊本城見学もできました。そしてそして、もう一人の西尾(環)先生の春日小学校にお邪魔して、造形遊び関連の「レインボープロジェクト(美術家岡山氏とのコラボ)」を拝見することができました。これも目からうろこで、私が今まで持っていた「造形遊び」に関する疑問が払拭されました。やはり百聞は一見にしかずですね。(これらの様子も上記のリンク(写真サイト)を覗いてみてください ^_^!)

Saturday, February 7, 2009

学校訪問:松山にて(6/23/08)


マンガ学会というのがある。日本の「マンガ」はそもそもいろんな研究テーマ(例えば、比較文化研究、メディアリテラシー、ジェンダー学、表象学、言語学、等々)から関連づけて研究出来る、Interdisciplinary (越境?)なおいしいテーマ。かくいう私も、「Children's Artistic and Aesthetic Developments (こどもの描画にあらわれる認知&美意識発達理論)」に関連づけて、他のコミック(例えば、アメリカンコミック)と異なる日本のマンガの特徴について調べている。

その学会が今年は松山大学で開催ということで、四国は松山に出かけた。ここには木村早苗先生という美術教育の素敵な先生がいらっしゃるので、ぜひにと日頃からお世話になっている愛知大学の藤江先生から勧められ、お会いすることに。教職は男女平等とはいいながら、やはり女性の図画工作の先生にお会い出来るのは少ないチャンスなので、どういう方かなあ、、、と期待は膨らむばかり。道後温泉の近くの宿を紹介していただき、少しお話しするだけの予定が、急遽先生の学校訪問させていただけることに。松山市立湯築小学校へと出かけました。先生のクラスへも乱入(^_^)。先生の生徒さんや作品をたくさんみることが出来ました。よかったよ〜。ビデオはその時のもの。ちょうどInSEA (International Society for Education)国際学会が大阪で開催されるということで、世界から集まってくる先生方へ向けて、メッセージをお願いしました。みんな元気 (^_^)!!!

松山での素敵な思い出写真と作品はここをクリックしてね学校に飾られていたアート作品も一杯。そしておいしいものも一杯!
このサイトの右肩「Slideshow」をクリックするとスライドショーがスタートします。)
ビデオは下の三角矢印をクリックするとスタートします。

 

学校訪問:名古屋にて (6/8&6/9/08)


先に私の研究休暇で3月から日本入りしている私たちにジョイントするために、ジョンが遅れてチコから名古屋国際空港にやってくるということで、海と私は、奄美からー大阪へ、そして新幹線で名古屋へ。名古屋では、末の弟家族の家にお世話になることに。一人っ子の海はいとこの翔君と光君と一緒に遊べてうれしそう。せっかくなので、近所にあるといういとこの翔太郎君(8歳)の通う明徳小学校のオープニングへ、いそいそとやってきました。

写真は翔君のクラスに掲げられていた言葉です。「みんなちがって みんないい」なんて素敵な言葉でしょう。先生の心意気がこの言葉から感じられます。

(このサイトの右肩「Slideshow」をクリックするとスライドショーが始まります^_^)

少女マンガ三人展:下関美術館 (8/2&3/08)

筑紫女学園大学の大城房美さんから少女マンガ三人展(*パネルディスカッションを含む他の写真はここをクリック ^_^!) のシンポジウム(九州マンガ定期月例会と合同)にお呼ばれした。文月今日子先生とのパネルディスカッションである。

お誘いを受けた時、正直迷った。文月先生は例の少女マンガ展示会の23人の作家さんの中には入ってないからである。少女マンガ展示会の批評(というか疑問、時には文句も  >_<,,,) で一番多いのが、どうしてこの人がいないのとか、いるべき人がいなくてどうしてこの人がいるのよ〜、、、等々、23人選択に関するもの。

展示会の目的&概要のところで、ちゃんとそこは説明してあって、自分がこどもの頃読んでいた作家さんを中心に、短編とかではなくストーリー作家、そして作品の多い少ないにかかわらず、その時の時代を代表する作家さんたち。ということで、あくまでも私個人の目(つまりプロの批評家の目ではなく、一般的な少女マンガファンとしての読者の目)を通しての選択であるということ。もちろんそれになかなか言葉に出しては言えない大人の事情も加わるわけだけど(笑)。

この人はぜひにとお願いして、ご縁がなく出ていただけなかった作家さんも入れば、この人には出ていただきたいけど、全体のバランスを考えて、このジャンンルにはもうこれ以上増やせないなあ、等々、コンタクトを断念した方々も少なからずいらっしゃる。当初は2人ぐらい、できたら10人、ということでコンタクトをして、結果的に23人にも出ていただいたわけだから贅沢は悩みといえば贅沢な悩みでもある。

何れにしろ誰が選んでも皆が納得する完璧な人選は無理で、クレームがつくのは避けられない事は承知。私自身、講演の時にはいつも「皆さんが選んだ皆さんの23人を考えてみてくださいね。」と言っているのだけれどね。みんんがみんな講演に聞きに来てくれるわけでもないから、いろいろ言われるのですね。逆にそれだけ言われるということは、話題になっているということであって、有り難いクレームと思うべきなんでしょうが、、、やはりブログでいろいろ言われるのは内心穏やかではなくなりますね。

文月先生の作品ももちろん夢中になって読んでいた作家さんのお一人。全体のバランスを考えて、コンタクトを取れなかった作家さんのお一人でもある。それに今回の「下関にご縁のある『少女マンガ三人展』」のお一人である青池保子先生なんてカリスマ性が非常に高く、どうしてこの人が入ってないのと「少女マンガパワー展」へのクレームの中で、たぶん一番名前があがっていた作家さんの一人だと思う。

前置きが長くなってしまったが、そういうわけで、巡回少女マンガ展(23人)をやっている以上、遅かれ早かれ、こういう風に23人の中にお誘いしていない方々との出会いも今後もあることだろうし、まずはきちんとご説明をと思い、参加することにした。ディスカッションのテーブルを囲み、お話しをしながら、流れの中で、このことについても触れさせてもらった。

文月先生は想像通り素敵な方で作家になられたいきさつや現在のお仕事の方向性など、お話しはとても楽しく、本当に良い時間を過ごさせてもらった。娘さんも現在海外在住とのこと。共通する話題も多く、それはそれは有意義な時間だった。また余談だが幼なじみであったというご主人もとても素敵な方で、ディスカッションの後、お仕事で先を急がれる文月先生の代わりにと慰労会ならぬ飲み会の席にもつきあってくださり、作家を支えるパートナーとしてのお話しもとても楽しかった。最後に「機会があったら文月のこともよろしく」の言葉が私の胸に大きく響いている。そうなの。素敵な作家さんはまだまだいらっしゃるのである。第二弾か、、、、どうする徳、、、

Friday, February 6, 2009

2008日本巡回展「少女マンガパワー!」4: 高知市横山隆一美術館 (9/6-11/9/08)

高知での展示会の様子はここをクリック!(*この写真サイトの「Slideshow」をクリックすると、スライドショーがスタートしますよ ^_^)
左は萩尾さんのサイン会で長ーい列が階段したまでできていました。萩尾さんは一枚一枚丁寧にサインしてらっしゃいました。この人柄もファンを惹き付けてやまない理由かなと改めて感じました。また萩尾さんの大ファンが萩尾さんと私の対談のことを詳細に書いています。そして私の講演についても。すごい。




日本巡回最終地(4場所目)高知は文化カルポート内にある横山隆一美術館。巡回のよいところは、各地を巡回しながら、各地の特徴を生かして、内容を更新できること。ここでは学芸員の奥田さんの尽力で「北米巡回報告コーナー」がとても充実(^_^)。各開催地で小講演をすることになっている私ですが、さすがに展示会スタートのオープニングには大学の学期スタートと時期が重なってしまい断念。そこで、毎年恒例の高知まんさいまんがフェスティバル(11/2&11/3)にあわせて、私のトークや萩尾さんとの対談、そしてギャラリートークを設定してもらいました。ちょうど同時期開催されていた、高知大学での大学美術教育学会に参加の先生方もかけつけてくれました。これで日本巡回も終了。ホッとするとともに、少々寂しさも、、、高知版読売新聞9/29/08にも紹介記事が掲載!

2008日本巡回展「少女マンガパワー!」3: 京都国際マンガミュージアム (7/19-8/31/08)



京都国際マンガミュージアムの少女マンガ展示会情報サイトはここからクリック!

夏休みをフルに使って、日本巡回少女マンガパワー展はいよいよ京都へ。ちょうどこの期間、日本の大阪で開催される第32回 InSEA (International Society for Education through Art)国際学会の開催期間(8/5-8/9/08)を含める形での開催。当時担当者だった増田さん(現花園大学勤務)の協力を得て、実施が可能に。あわせて米国やアジア台湾から集めたこどもたちのアート作品(USSEA: United States Society for Education through Art)も併設して開催。ということで、私のトークもこの学会が終了した翌日、学会ツアーの日程にあわせて8/10に実施。学会からも多くのひとたちが見学に訪れました。KMMの倉持さん&表さん、大変だったことでしょう。ご苦労様。感謝です。

2008日本巡回展「少女マンガパワー!」2: 新潟新津美術館 (4/12-5/25/08)


4月
息子の海と一緒に上越新幹線に飛び乗り、新潟の新津美術館のオープニングトーク(4/12)と翌日(4/13)のギャラリートークのためレッツゴー!!!(学芸員の高波さん&荒川さんにお世話になりました。感謝感謝!)なんと2週間後(4/26)に開催された新津でのゲストトークは岡野玲子さんだったの。新津すごいね。

実はこの日本巡回を全面的にサポートしてくれているのが、美術館連絡協議会という組織。ここで定期的に紹介記事も掲載してもらっていましたよ。

2008日本巡回展「少女マンガパワー!」1: 川崎市市民ミュージアム (2/16-3/30/08)

川崎市市民ミュージアムでのオープニングトークのため、サンフランシスコより、日本へ向かう。川崎の学芸員、ヤマダトモコさん、そして金澤韻(こだま)さんと(そしてもちろん多くの方々の協力を得て)とうとうここまでこぎつけたのね。感無量、、、内覧会(2/15)では、ちばさん、牧さん、美内さんとそうそうたる方々がいらっしゃって、その後のパーティでもコメントを述べられた。(*その先生方の講演ビデオもここからリンクできます。)

また翌日(2/16)の私のオープニングトークには、水野英子先生他、藤本由香里さんも。また私の三菱化成勤務時代の友人達や高校時代の友人達も来てくれた。感謝。

*川崎市市民ミュージアム活動レポートサイトでは、水野先生の執筆の様子のビデオも(私のトークの写真も載っています ^_^)

日本巡回では、「少女マンガパワー!展勝手に応援ブログ」というありがたいブログが出来た。これを含めて、いろんなとことで、記事にしてもらったけれど、その中でいくつかを下記に紹介。

*私の講演について詳細に記録してくれた方もいる。うれしくすごいの一言。
*また講演後のインタービュー記事もコムコムに掲載されています。
*この日本巡回の少女マンガパワー展の元になった米国での展示会について、初めて記事にしてくれたのは読売の全国版、2005/8/26の記事。あれからもう3年も経ち、そしてこの展示会がまだ続いていることに驚くとともに、応援してくださった方々に本当に感謝!!!

Thursday, February 5, 2009

A Report from The Way of Asia 4: Sushi-display Contest (11/14/08)


寿司ディスプレーコンテストの様子はここをクリック!(*Click here to see other photos related to Sushi-display contest!)(写真サイトの右肩「Slideshow」をさらにクリックするとスライドショーがスタートしますよ!Enjoy watching ^_^!)

待ちに待った今日(11/14/08)は寿司(ディスプレイ)コンテストの日。これをやりたいがために、「The Way of Asia」を企画したといっても言い過ぎではない?!というほど、力(りき)を入れて、この日のために学生、同僚、そして Japan Chico Women's Clubのメンバーと準備を重ねてきたの。「寿司コンテスト」と銘打っているけれど、実はこれはお寿司のコンテストではない。カリフォルニア巻きというカリフォルニアで生まれた巻き寿司をいかに美しく盛りつけるかというディスプレーコンテストなのだ。条件は、カリフォルニア巻き(California Roll: アボガドとカニかまがメインの具)をもとに、四季の中から一つの季節を選び、その季節の美を表現するために、いかにうまくディスプレイするかというもの。ということで、どの季節を選ぶか、そしてどのように配列するか、そしてそのために、どの食器を選ぶか、、、等々、競技者のセンスが問われるわけですね。

実はコンテストの元になったのは、この数年私が美術教育のクラスのカリキュラムの一つ「Food as Art (芸術としての食:食することはアートすること!)」から来ています。数年前、後藤慶子さんという食品工学の先生がチコ大のファカルティー(faculty)としてやってきたの。私としては彼女と知己を得た事は一言「ラッキー ^_^!」。元々「食とアートの関係性」で美術教育のカリキュラムを考えていた私は、彼女の協力を得て、食品工学の調理ラボで早速授業をすることができるようになりました。これがあたって、私が教えたカリキュラムの中で、学生達にとって、ベストヒットのレッスンになったというわけ。そこで、ちょうど「4コママンガアート巡回展示会」を企画(国際交流基金の助成金)していた私は、いつものように関連イベントということで、この寿司(ディスプレイ)コンテストを立ち上げ、チコ市のコミュニティにも見て楽しみ、そして食べて健康的にという目的(があったかどうかはさておき)で、コミュニティープロジェクトとして、実施ということになりました。

賛同してくれたいくつかの地域の日本食に関連する企業、並びにレストランがサポートしてくれ、お米は有機栽培で有名な地域の会社、コンテスト商品には、日本食レストランがディナー券を提供してくれました。

結果はどうだったか、、、スライドショーとビデオでご確認ください。「大成功!」とわたしたちは思っているのですが。これを毎年恒例のイベントにするかどうか現在検討中(^_^)!

A Report from The Way of Asia 3: Closing Ceremony (11/13/08)

The Way of Asiaのクロージング (Click here to see other photos related to the closing ceremony of the Way of Asia (11/13/08)

準備には時間がかかるものだけど、始まってしまえば時間はあっという間にたってしまうのが世の常。一ヶ月ほど前に始まったこのイベントもそろそろ終盤へ。実はこの10日程、日本で別のイベント(巡回少女マンガ展示会最終地「高知カルポート内:横山隆一まんが館)でなんと少女マンガ家の萩尾望都(もと)先生とご一緒して公演トークをしてきました。その余韻を引きずりながらチコの街へ戻ってきました。今回は日本から福島大学の渡邊晃一先生をお呼びして、「身体認識とこどもの描画の関係性」についてご講演いただきました。もともと絵画のご専門で世界中で展示会を開いている方なのだけど、美術教育にも見識が深く、「絵画の教科書」という鑑賞教育の本も執筆されている。さらに神経脳医学の養老毅氏と共著があるなど、多才は人。今回は数日間の準備時間がしかなかったのも関わらず、ご自分がここ数年関わられている世界最長年の舞踏家大野一雄氏のキャスティングアートを含むこのシリーズの写真展も準備してくださいましたよ。すごいエネルギー。150人入る会場が満員のトークの後、4コママンガアート展示会ギャラリー会場へクロジーングのセレモニーへ。そこでは展示会の受賞式も同時に開催。米国さくらクレバスから寄贈していただいたアートグッズが花を添えてくれました。日本からの景品ということで、こどもたちのうれしそうな顔、顔、顔。桜クレバスさんありがとう(^_^)!!!

*下のビデオは友人でジャズピアニストであるしげみさんのジャズトリオ。(*彼女もまたすごくて、2005年秋に米国巡回展示会をチコをスタートに立ち上げた時、オープニングのシンポジウムでやはりジャズ演奏をしてくれたのですが、、、これがなんとアニメソングをジャズに変えての演奏だったの!!!アトム、ゲゲゲの鬼太郎を初め、サリーちゃん。極めつけは「宇宙戦艦ヤーマート〜!」で声を日本人メンバー(特におばさん連中)で声を張り上げて合唱したのが、まるで昨日のよう、あ〜あ。早くその時のビデオもぜひブログにあげなきゃ!!!)

A Report from The Way of Asia 2: Tea Ceremony & Kimono Auction (10/17/08)

The Way of Asiaオープニング(10/16/08)の翌日金曜日最初のイベントお茶会と着物のオークション (*Click here to see other related photos ^_^!)を開催。

オープニングの翌日は、待ってました!お茶会と着物のオークションの開催です。お茶会をしきってくださる方が二転三転したので、どうなることかと思いましたが、Japan Chico Women's Club からけいさんが主人でみ つこさんが主客ということで急遽(それも一日前!)でやってくれることになりました。私の動転ぶりにおもわず助け舟を出してくれたんですね。感謝。

*CN&Rの記事:Food as Art-Teas and sushi on display at Humanities Gallery’s Far East Fusion events はこちらをクリック!(*Click here to see the news on CN&R, 10/30/08, by Christine G.K. LaPado)

日本からちょうどチコの学校訪問(多文化主義教育の視察)に訪れた*文化省の視察団20余名の方々(シニアアドバイザーが愛知教育大学の藤枝充教授)にも参加していただきました。100名分のチケットを用意していたのが、結果的に150余名、立ち見もでる盛況ぶりにほっといたしました。このお茶会は「日米文化のフュージョン(fusion)」が謳い文句。日本文化をそのまま海外で紹介するのではなく、紹介先であるチコの文化と融合してどのような形で日本文化を紹介できるかと問いかけたものでもありました。ということで。お茶碗は私の美術教育の学生達が、茶菓子は、後藤慶子さん(食品工学)の学生さんが、そして実際に裏でお茶をたててくれたのが、同学年の友人、敦子さんと徳田恵子さん(日本語)と彼女の学生さんたち。

その後続けて開催され、これもまた大成功に終わった着物オークションは、やはりチコクラブの里津子さんの伯母さま(大阪)からの寄付によって実施が可能に。もちろんここまでプロジェクトをアイディアから実際の運営にまた持って来れたのは、その他特に大学の同僚達のアドバイスやヘルプがあったからなのですね。一人では難しいけれど、コラボでいろんなことが可能にという良い見本かと。(あっもちろん国際交流基金の助成金なしには、ここまで大きくやれなかったですね。いつもお世話さまです。そして今後もどうかよろしくです!!!)

とにかくどうにかスタートを切れてホットしたのでした。(個人的感想です >_<,,, & ^_^!)

A Report from The Way of Asia 1: 4-panel ArtManga exhibition (10/16/08)


国際交流基金の展示会サポート助成金のおかげで、実施が可能になった4コマパネルアートマンガ展示会。子どもたちの目を通して、今世の中で何が起こっているのかを4コマで表現してもらったもの。日米を中心に500点以上の作品が集まり、その中から約200点を選んでの展示。(どれも捨て難く選ぶのに苦労しました。)またチコの多くのコミュニティーの協力を得て、良い作品が学校から集まりました。その展示会に花を添える形で、ゲストスピーカーとして駆けつけてくれたのが、2006年夏例の米国巡回少女マンガ展示会「Shojo Manga! Girls' Power!」をニューヨークで開催した時のサイトディレクターでもあるマイケル(Dr. Michael Bitz, Teachers' College Columbia University) 。彼が奔走してブルックリンのアートスクールでの開催が可能に。彼がディレクターとして長年全米で展開してきた「コミックブックプロジェクト (Comic Book Project)」の報告本が2009年3月にハーバード大学出版より出版されることに。私もそこでブックレビューを書く事になっているので、興味のある方はぜひ一度お手にとってくださいな。さてその彼の講演の後。ギャラリーでオープニングパーティ。写真スライドでもおわかりのように、多くの人が集まりましたよ。(美術教育の学生を中心に手伝ったもらいましたが、外部からもありがたい救いの手が。特にラテン文化研究の学生、さちさんには、ラベル作成で本当にお世話になりました。彼女のヘルプなしにはキャプションは出来なかったですね。感謝。)

*北米少女マンガ展示会のCN&R記事はこちらをクリック(Click here to see the article of a North Amercia touring exhibition of Shojo Manga! Girls' Power! on CN&R -11/3/05 by Christine G.K. LaPado)

*展示会の様子はここをクリック!(Click here to see other photos of the opening and the 4-panel ArtManga exhibition!) (*リンク先の写真集の右上 Slideshow という言葉をクリックするとスライドショーがスタートします。)

Wednesday, February 4, 2009

J-Educators チコ訪問記2:環境&文化の多様性(10/16-21/08)

今日はチコ市の中心部から北へ広大に広がるBidwell Parkの視察見学も。実はこの公園は市の公園としては、米国で2、3番目の大きさ。元々はこのチコ市の創始者、John Bidwell氏の私有地だったものを彼の死後、1905年市へ寄付され、それ以降公有地となったものだそう。約3,600エーカー(= 1,440ヘクタール)の広大な土地。北部の方、アッパーパークと呼ばれる地域は、溶岩でできたなだらかな丘がずって続いていて、ハイキングコースやマウンテンバイクコースも設置されている。。もちろん川もながれていて真夏はこどもたちの良い水遊び場所にもなっている。ユニークな動植物もたくさん。今日はジョンにその公園のガイドをしてもらい、かつてこの地域に住んでいたというネイティブアメリカンの住居跡なども案内してもらった。(一応彼は、Nature Centerの教育プログラマーで、ガイドの仕事もしているプロでもありましたね。初めて彼のガイド振りを拝見 ^_^)


J-Educators チコ訪問記1:学校訪問&WelcomeParty(10/16-21/08)

昨年に続き今年2008年も日本から独立行政 法人教員研修センター(文科省関連組織)派遣で「伝統文化の教育」に関する調査団の方々がチコの街へいらっしゃいました。全国より選ばれた25名の先生方。小中高、そしてそれぞれ異なる学科専門の先生方のチコ訪問。毎日びっしりのスケジュールの中、初日の最後は我が家へお出でいただき、チコ在住の日本人の友人達と一緒にウェルカムパーティを開きました。アメリカの家というと、プール付きの大きな家を想像される方が多いかと思うのですが、現実はこんなものですというような、小さな我が家でちょっと申し訳ない(>_<,,,)。

ビデオは私の友人(ご主人が数学の教授)、ジャズのピアニストでもあるしげみさんにピアノを弾いてもらっている様子。(うちのピアノは百年近く前のアンティークなので、調律がこれ以上できず、キーが半音ずれていて、そんなピアノでしげみさんはさすがです。感謝。)