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Sunday, March 29, 2009

美術教育&教員養成プログラム紹介(其の2): Art Education & Credential Progras in CSU-Chico


*左記「2009-2011年度版」カタログ。
(2009年秋の新学期からはこのカタログが採用されることになる。)

1. 教員養成プログラム(美術教育単科の場合:K-12th G. 幼稚園から高校までの美術教育の資格)
*すべての義務教育期間(カリフォルニア州では幼稚園から高校まで)で教えることができる資格だが、実際には高校教師になる場合がほとんど。そうなんです。州によって異なるものの、米国では義務教育が長い。なぜ義務教育期間が長いのか、国がそこまでそうせざるを得ないというのが理由だけれど、詳細についてはまた今度。

左記3/28付けのブログでカリフォルニア州立大学チコ校における、美術教育と教員養成プログラムの一般概要をざっと説明したが、今回美術教育単科の教員養成を中心にもっと詳細について紹介したい。


カリフォルニア州の場合、教職は、専門の知識(理論と実践教育)は学士である4年のうちに終了し、その後教職プログラムでは、科目共通の教育理論と実践に特化して教育するのが教職プログラム(Credential Program)。専攻がどの科目(例えば数学とか美術)かにかかわらず、このコース内容は共通であり、教員実習コースのみそれぞれの科目の元に実習に行く事になる。

上記のSingle Subject Credential Requirements (Block System) をクリックして内容を見てみると、この教員養成プログラム(単科)は3つのブロックに別れているのがわかる。ひとつは本プログラムに入る前に必須の Block 1 courses (Prerequisite)というもの、つまり前もってとっておかなければいけない必須のコースワークで13単位ある。そして Block 2 courses (Credential Program)といわれる、教職のための本科プログラムで、実際に教員養成のプログラムはこの部分で、教員実習(2種類:Practicum I の6単位と Practicum II の9単位)もこの中に組み込まれていて、この本科部分でだけで、29単位、約1年のコースである。そしてその他に Floater courses と言われるコース類で18単位。本プログラムに入る前、入っている間、その後、いつでも好きな時にとってよい時期を選ばないコース群があり、これらの内のいくつかはGE (General Education:一般教養)と重複しているコースや外国語のように、高校時代にとっていて、その単位をここに入れることができる場合もある。何れにしろ、本プログラムのコースワークにプラスして、その前後の必須コースを加えると、ほとんどの場合、完全に終了するのに約2年かかる計算になり、これからもわかるように、カリフォルニア州における教員養成プログラムは大学院レベルのプログラムであることがわかる。

2. 教員養成プログラムその他:

*Single Subject Credential Program その他:この他単科の教員資格コースの他に、Supplementary Program というのも設けられていて、専門の科目以外にも興味のある科目がある場合、プラスその科目専門で決められているコース20単位をとれば、その追加科目も教えることができるというものである。

*Multiple Subject Credential Program その他: また小学校の教員養成の場合、もちろん全科目を教えるわけである。が、その中で特に専攻を特化したい場合は、Concentration というプログラムも補足として存在する。例えば美術を特に専門としたい場合は、「Concentration in Visual Art」というプログラムを追加で取り、そのプログラムが選定するコースを余分に12−15単位取る事により、美術の専門教師としてK−12G (幼稚園から中学2年まで)指導することができるというものである。

良い教師を養成するという目的とともに、また彼ら彼女らにとっても魅力的なプログラム(つまりいろいろは付加価値のあるチョイスがあるという意味で)になるよう、構成されている(よう努力している、、、)。ただこれらのプログラムもCCTC (California Commission Teacher Crendentialing)のスタンダード更新に連動しているので、常に更新変化せざるを得ないのが少々つらいところである。(正直美術教育教員養成アドバイザーをしている私にとって、この変化の早さに少々ついていけない時がある。もう少し市場原理に一喜一憂しないで、真に教員養成の質だけを考えて中長期でゴールを決めてほしいと思うのが本音である。とにかく変化が早い。)

Friday, March 27, 2009

美術教育プログラム&教員養成プログラム紹介(其の1): Art Education & Credential Progras in California State University, Chico




カリフォルニア州立大学チコ校での美術教育プログラム並びに教員養成プログラムの紹介を。

*左現在使用中 「2007 −2009」 の大学カタログ(各専門分野の必要単位や概要などすべて明記。2年毎に更新される。この2009年の新学期、秋学期、からは新しいカタログ「2009−2011」が使用されることになる。)
*美術教育プログラム(2007-2009)(カタログ中に記載されている美術教育プログラムのコース内容。これも2009年秋より新規のものに変更される。)

1. 美術教育プログラム(美術教育学士)*2009年春現在
*Clearance Form (2009年春現在、各生徒毎に作られるデーター表): Bachelor of Art: Art Education Option at California State University, Chico (芸術学学士:美術教育専攻)

基本的にすべての学士取得の卒業最低必須単位(計120単位):

美術教育学士号取得プログラムの場合:一般教養コース(計60単位)+美術教育専攻コース(計60単位)

2. 教員養成プログラム:

カリフォルニア州の場合、教員養成ブログラムは修士レベル、つまり専門の学士を取得した後に、それぞれの専門のアドバイザー (*Advisor of Single Subject: ちなみに私は美術教育教員養成アドバイザー) に査定してもらい、教育学部(Education Department) に所属する教員養成プログラム(Credential Program) に*申請書類を申請し、そこでまた審査を受けてプログラムに入り必要なコースワークと教育実習を行うことになる。ユニークなのは、専門領域の教育実習以外は、専門学科に限らず、教員養成ブログラムのすべての学生(先生の卵)たちは一緒に教育関連の理論コースを学ぶことになる。

教員養成プログラムには小学校の教員養成プログラム(Multiple Subject)中学高校の専攻科プログラム (Single Subject)の2種類がある。(その他いろいろ関連プログラムがあるが、ちょっと複雑なので、ここでは上記の2種類のみ紹介。)2学期(計1年)に及ぶ教育実習を含む1〜2年のコースワークを終了後、晴れて Credential Program 終了の認可 (Certificate) をもらうことになる。


これらのコース内容&資格条件等はそれぞれの学科のスタンダード同様、州の教育省、CCTC (California Commission on Teacher Credentialing) の管理指導の元にあり、社会のニーズに従い、定期的に更新を迫られることになる。また大学のそれぞれの専門学部のプログラム内容もスタンダード更新(また教員養成ブログラム)に伴い、常に更新を迫られることになる。(だいたい10年毎)現在その美術教育プログラムの更新作業&CCTC認定に向けての真っ最中。その更新作業、そして更新プログラムが査定され、最終的に認可をもらうまでが、時間のかかるしんどい作業の涙涙の毎日。2005年に作業を始め、すでに4年、、、いつになったら認可がおりるのでしょう。その詳細についてはまたの機会に。

ここカリフォルニアでも日本と同様、教員養成プログラムを終了し、その後教員になるわけだが、実際の就職方法が日本とはかなり異なっている。各地域毎の教員採用試験を受け、その結果で採用され、また4月に一斉に新教員としてのスタートをするわけではない。すべて公募である。つまり誰かが退職でもしない限り、教員のポジションはない。常に情報収集をし、新聞等の公募情報をもとに、必要書類を申請し、面接、そして採用というプロセスを踏む。日本以上にいばらの道である。

Thursday, March 26, 2009

博士論文の内容構成:the Content of Doctral Thesis in 1998


(Photo) 写真は1/24(or 25)98、イリノイ大学美術教育学部の会議室にて、thesis defenseを終え、委員会長で私のアドバイザーでもあるTinaから「Congratulations Dr. Toku ^_^」と笑顔で告げられ、委員会の皆と一緒に写真を。私は出産をまじかでひかえて、顔も体もふくれあがっている情けない状態です >_<,,,(写真左から幼児教育&発達論のDr. Daniel Walsh, Curriculum & Instruction <> 私と2日後に生まれる海 in my tammy、美術教育のDr. Tina Thomson <>, 音楽教育斗質的研究のDr. Liora Bresler, Curriculum Instruction <>, & 評価学&量的研究のDr. Lizanne DeStefano, Quantitative & Evaluative Research Methodologies <> )

博士論文の内容構成はその専門領域によって異なるのは当然だと思う。私がもと所属していた分野、農業化学専攻の友人に言わせると結果がすべてで、プロセスがどんなに素晴らしくても結果がともなわないと何の意味もなさないそうで、そういう理屈で、卒論も素晴らしい研究結果を持つ物であれば、結果だけの証明、極端によると「結果を示す公式だけでもいいんだよね。」と豪語していたものである。さすがに教育関連ではそういうことはなく、教育を含む人文関係の研究は結果より、むしろ結果に至る(結果を導く)までのプロセスの方がむしろ重要であるらしい。研究プロセスつまり結果を導き出す方法の妥当性を問われる。つまりどんなに素晴らしい結論、そして解釈をしようと、それに伴う方法論が妥当でない場合、それによって導き出された結論は、当然信憑性を失うことになる。

私の場合でも、最後の関門、ディフェンス(Defense:学位審査の試問)で、卒論審査委員会の教授陣につっこまれたのもそこである。どうして君はたくさんある方法論の中であえてその方法論を選択したのか?その方法論は君の研究テーマにとって最も妥当なものなのかどうか?等々、、、約1時間程論文の最終発表をした後、待ってましたかのように、つっこんだ質問があちこちから、どうにか息もたえだえに回答していた私に出された最後の質問がこれだった。「Is this methodology really relevant?(この方法は本当に妥当なの?)」「What made you say that? (どうしてそういいきれるのか?)」

下記 APA (America Psychology Association)様式と言われる、論文書式に沿った卒論の内容です。(論文書式で3つが著名で、英語学など一般的な書式は MLA (Modern Language Association), 美術史などの Chicago Style、そしてこのAPA (エーピーエーと発音)style。これは統計等の数字データーを使用する研究論文に使用される書式で、教育学、心理学等もこれを使う。もちろん美術教育もこの書式を使うことを義務づけている。(ほとんど大学でこの書式は必須で指導している。)

これは出版前の、オリジナル原稿ですので、関連図(figures)、グラフ(Graph)、テーブル(Table)は挿入箇所を指定しているのみで、それらは別途、論文の最後にまとまめて付記してあります。が、ここではリンクしていません。完全版論文の出版物は大学のイリノイ大学大学院図書館に収められています。

(*参考にされる場合はご面倒でもご一報いただければうれしいです ^_^ < mtoku@csuchico.edu >)


論文を書いていた頃、先輩に言われたものです。「卒論のそれぞれの章を発展させて、また論文を書くのが卒業後の責任なんだって、、、」「えっ、ということは6つの全く異なる論文ですか?」

先輩すみません。あれから10年経ちましたが、論文の数だけはこなしましたが、内容はまだ6つの異なる研究とはとても言えないレベルです(というかこの忙しさの中、そんな多様な研究はほとんど不可能な気がします >_<,,,)。そういった先輩ご自身は本当にできたのでしょうか?

論文を書いていた頃は苦しかったけれど、同時に今思い起こせば、一番楽しかった時かもしれません。自分のことだけを考えて自分の研究論文に集中できましたもの。あの頃が無償に懐かしい今日この頃です。


Friday, March 20, 2009

新規出版物の紹介:Mnaga High by Michael Bitz


私の友人であり、少女マンガ巡回展示会「Shojo Manga! Girls' Power!」(2005-2008) の米国での開催地の一つ、ニューヨークでのサイトディレクターでもあった マイケル (Dr. Michael Bitz)が、ハーバード大学出版 (Harvard Education Press)より本を出す事になった。良い本なのでここで紹介したい。

マイケルは Teachers' College Columbia University の美術教育の教授であるが、2001年より Comic Book Project  (CBP: コミックブックプロジェクト)というマンガという表現方法を使って、子ども達に自由に自分を表現させ、最終的に子ども達自身のコミックブックを出版するというリテラシー教育 (Visual Literacy Education)プロジェクトを行っている。その実践と実態の報告書のような一冊である。

この本の中では、特にニューヨークのマンハッタンにある*放課後教育施設 (MLKH)で、週に一回マンガクラブとして実施したこどもたちの実情を記録したものがベースとなっている。日本でマンガを当たり前にようにして育った私にとって、数ある漫画クラブの一つのような気持ちで軽く読んでいたのだが、このクラブに参加するこどもたちの社会的背景のすさまじさに驚き、そしてそのこどもたちにとって、このマンガで表現するということが、私が想像する以上にいかに大きな意味を持つのかを知り、とても胸が痛くなった。

ホームレス高校生あり、親がドラック中毒で家庭を経済的に支えている子あり、親に虐待され保護施設を点々としている子あり、そして中国支配のチベットから命からがら逃げてきた家庭の子どもあり。彼らがニューヨークという巨大な都市の中で、決して特別な家庭環境の子ではないということを知り、ニューヨークの教育環境事情にまた改めて驚く。そういう子ども達への教育という大きな課題を背負っている教育者達が、効果的な教育方法を模索し、また必死で彼らを救おうとしている姿にも心を打たれる。この本の中でこどもたち約10人の作品を紹介しながら家庭環境にも触れている。マンガは彼らにとってホープ(望み)であり、将来への希望を与えるコミュニケーションの一つの道具、偉大な道具であることを知り、感動を覚える。(本当にその部分で泣きました。)

マイケルは本の中で、なぜアメリカンコミックではなく、あくまでも日本のマンガなのか、いろいろな理由はあるだろうが、これといったはっきりとした答は導きだせないとしている。しかしながら本中の一人の学生の言葉「スーパーマンは世界を救ってくれるけれど、僕を救ってはくれない。」が全てを物語っているような気がする。

これは決して漫画の研究本ではない。マンガがどのように米国で子ども達の間で受け止められているのか、そして実際にどのようなマンガ表現をしているのかを知るとても実践的な本である。お薦めの一冊。この5月にハーバード大学出版より上梓されます。私も実はBlurb(本の帯の宣伝文)を書いています。だからというわけでは決してないですよ。

(注)*実はここは元高校(MLKH: Martin Luther King, Jr High School)であったが、問題校であったため廃校になり、放課後プログラム(Afterschool Program) の補習教育施設となっている。ニューヨークの各地からこどもたちが集まる。

以下この宣伝サイトからの抜粋。興味のある方は下記の出版サイトをクリックして詳細をご覧下さい (^_^)!

*ハーバードエデュケーションプレス:Harvard Education Press

Manga High
Literacy, Identity, and Coming of Age in an Urban High School
Manga High: Literacy, Identity, and Coming of Age in an Urban High School

By Michael Bitz

Since 2004, students at Martin Luther King, Jr., High School in Manhattan have been creating manga—Japanese comic books. They write the stories, design the characters, and publish their works in print and on the Internet. These students—African-American and Latino teenagers—are more than interested in the art and medium of manga. They have become completely engrossed in Japanese language, culture, and society.

Based on a four-year study, Manga High explores the convergence of literacy, creativity, social development, and personal identity in one of New York City’s largest high schools. The text is highlighted by reproductions and content analysis of students’ original art and writing. An appendix includes guidelines for educators on starting a comic book club. Available May 2009.

ちなみに依頼され、私の書いた宣伝文がこれ、以下の文章。本の批評文は書いたことがあるけど、宣伝文は初めてなので、この中から出版社側がどの部分を使うのかも実は私の楽しみ、(もしかすると全然使われない可能性もありね。そういう時のため、ここに載せとこう。)

Why does Japanese manga continue to fascinate youth all over the world, when American comics don't? This book uses students’ words and artworks, to explore what manga means to the youth who participated in the Michael Bitz' comic book project (CBP). Bitz created the CBP in 2001 in NYC as an after school program to develop youth’s literacy skills based on their favorite style of art: manga. The CBP has spread all over the US to become a leading world youth literacy program. Don’t miss it (^_^)!

I was impressed with the personal stories of the students, their suffering of their personal lives and the way they used their artwork to find their voices to express their identities, deal with their problems, and find hope for the future. The CBP is an important and valuable tool for today's classroom, relevant and engaging for students. (March 16, 2009)

Masami Toku
Director
Shojo Manga Project

Thursday, March 19, 2009

少女マンガ展示会その後:作品返却行脚旅行 (2009年1月)


もう一つの私の旅日記というか生活日記のブログ「TokuToku Journey (とくとく日記)」に載せてしまったのですが、ヤマダトモコさんと少女マンガパワー展の作品をお返しする行脚の旅に2009年1月は出かけました。約1週間しかなく、23人すべての先生方(マネージャー&編集の方々)にお会いするのはとても不可能でしたが、それでも10数人の方々にお会いしてご挨拶することができました。その時のものです。ここからいくつかリンクします。

Wednesday, March 18, 2009

2007北米巡回展示会「Shojo Manga! Girls' Power!」報告その9 (9/19-11/9/07):国立日系カナディアン美術館にて


北米巡回最後(9場所目)の開催地、バーナビー(カナダ西海岸バンクーバーの隣地区)の JCNM (Japanese Canadian National Museum) での展示へ。とうとうここまで来ましたね。ロスアンジェルスから国境を越えて、再度カナダの西海岸バンクーバーエリアへやってきましたよ!自分で自分を褒めるところまではいかないけれど、ご苦労さんとはいってあげれるかな。各地各地でいろいろあるなか、また大学の仕事と併行しながら、オープニングもしくはクロージング講演に全ての開催地を訪問しました。自分の持ち時間との戦いでもありましたね。よくここまで持ったと本当にそう思う。

この後は日本巡回が決まっているけど、ヤマダさんや金澤さんがいる川崎が中心にそれもパワーアップしての展示会になることになっているので、ここまで一人孤軍奮闘したのとは大違い。大船に乗ったつもりで、日本巡回へバトンタッチ(とその時は思っていたのだけれど、日本展示もそういえばいろいろありました、それはまた後のお話し。)

(ちなみに写真はバンクバー巻き(サーモンの皮の薫製が具として入っている)も入ったお寿司。主任学芸員のティムと気のきくニコラが私のために用意してくれていました。)

チコからバンクーバー行きも実は波乱がありました。チコの小さなローカル空港で私の大きなスーツケース(作品や図録が一杯)の荷物チェックの際、ジッパー(ファースナー)がうまく開かず、検査できないとして、飛行機搭乗を拒否されてしまうという信じられない事態に。急遽チコから約90マイル離れた州都、サクラメント国際空港なら大きな荷物を通すセキュリティー機器があるので、そこからバンクーバーに飛ぶカナディアンエアー(ユナイティッド航空のシェアコード航空)でのフライトを準備してもらうことに。

あわててジョンにお願いして、車でドライブすること1時間半。ようやくチェックインして搭乗を待っていたところ、今度はユナイティッド航空から航空会社変更の正式連絡がカナディアン航空に届いていないから確認が取れるまでは搭乗させるわけにはいかないということで、ゲートの前で一人待ちぼうけ。他の乗客の搭乗が皆済み、時間切れでゲートもしまるというその時、私のその日のハプニングに同情してくれた女性添乗員が「私の判断であなたを載せるわ。ゴー!ハーリーナップ!」とゲートを再度開いてくれたの。最後の最後に神様仏様の心境とはこのこと。助かった。結局お昼すぎに余裕を持って、バンクーバーに着く予定が夜の9時過ぎに着。美術館のニコラが空港まで迎えに(ごめんね >_<,,,) 結局美術館に着いたのはその日の夜の10時というありさま。学芸員のティムが一人まだ展示準備をしながら待っていてくれていました。いやはやいやはや。

さてさて展示会そのものはどうだったかというと、展示会場は小さいスペースでしたが、よくまとまって展示されていたし、なにしろカナダ西海岸の名門大学ブリティッシュコロンビア大学の日本研究学部の20周年(25?)記念行事と合同のイベントとしての講演会実施はとてもラッキー。実は大学の記念講演には、竹宮恵子さんや藤本由香里さんがすでにご招待されることになっていて、大学での講演の前に少女マンガ展示会オープニング講演にもお二人にご参加いただきました。

実は竹宮さんと藤本さんは、最初の開催地チコでのクロージングにお出でいただき、講演をしていただいた方々で、この巡回展示会の最後の最後に、やはりこうやてお二人にお会い出来るというのも運命のようなものを感じました。

(*左の写真手前はブリティッシュコロンビア大学の日本館の講演会場に向かうところ。右から藤本さん、そして竹宮さん。ちょっと小さいかな。確かこの日本館は大阪万博の日本館をここまで持って来て再現させているのだとか、、、間違っていたらごめんなさい。)

このひと月後に、私は再びバンクーバー&バーナビを訪れ、作品片付け、そしてその作品を担いで、バンクーバー空港から成田へと、そして日本巡回の立ち上げ館である、川崎市市民ミュージアムへ向かうことになるのですね。

ともかく北米巡回、心配していた作品紛失等何もなく日本へと作品をお返しすることができ、ほっとしました。(この大変さを知らなかったからこそできたなあと今更ながらに思います。もう二度とやれないです。どうかどうか出版関係の方々がその枠を超え、もう一度きちんとした展示会を北米にてやってくださることを切に願います。北米展示にご協力いただいた方々、本当にありがとうございました。多謝多謝 ^_^!)

2007北米巡回展示会「Shojo Manga! Girls' Power!」報告その8 (8/18-8/26/07):LA日本文化コミュニティーセンターにて


*写真はロスアンジェルスの奄美会の皆さん

西海岸は我がチコの街をスタートした巡回展示会は米国大陸を横断して東海岸へ、そして北上してカナダ、また米国にもどり、今度は逆に東から西へ横断する形で、とうとう8番目の開催地としてLA(エルエー:ロサンジェルス)は JACCC (Japanese American Culture and Community Center) へやってきました。このJACCCは西海岸で最大の日系文化センターで、日系アメリカ人にとっては日本文化維持&紹介の中心的役割を果たしている。

LAはこの展示会開催の助成金を出してくれた国際基金ロスアンジェルス事務所もある場所。そしてなんと言っても西海岸の中心のようなところ。LAでの開催は、東海岸NYでの開催同様、外せない。そうはいうものの巡回展示会開催準備当初はまだまだ少女漫画展示会の価値を理解してくれる美術館はまだまだという状態だった。そういった状況の中、手を差し伸べてくれたのが、このJACCCの責任者でもあり名物学芸員の小阪さん。ご本人自身優れたアーティストでもあるのだが、もともとはお坊さんというユニークな経歴の持ち主。JACCC自身資金に余裕のない状態の中、ギャラリースペースを無料で提供してくださり、そして広告なしでも確実に人が集まると言う、毎年恒例の日系ウィークを挟んでの展示会開催を提案してくださった。

この日系ウィークの間に、JACCCのあるリトルトーキョーではたくさんのイベントが開催され、少なくとも2万に参加者が例年あるということで、この巡回少女マンガ展示会の広告はJACCCホームページや招待ポストーカード以外にはそれほど苦労することなく、たった9日間の開催ながら、一番人が入ったのでした。

思いがけない出会いもありました。わが故郷奄美大島の先輩でもある奄美会の方々。少女マンガ展示会の宣伝を誌上でしてくださった日系新聞Cultural Newsの編集長、東さんのご紹介。「徳さん、奄美の出身なら、奄美の人がこのほんの目と鼻の先にいるよ。ちょっとよって見る?」とのお誘いで、JACCCの敷地内にグラフィックアートのお店を開かれている上田さんに紹介していただいた。なんと上田さんは小学校、中学、高校と私の先輩であることが判明。その上田さんの奥さんの声かけで、奄美会の中心となる方々が早速応援にかけつけてくれました。奄美会の皆さんにお会い出来ただけで、このロスアンジェルスで開催できたかいがあったというものです。(写真上左から奄美会の会長さんの西本さん、木戸さん、上田さん。下左から、上田さんの奥さん、そして西本さんの奥さん。)

Tuesday, March 17, 2009

2007北米巡回展示会「Shojo Manga! Girls' Power!」報告その7 (5/25-6/29/07):ミネアポリスにて


ミネアポリスカレッジオブアート&デザインの学生さん。コスプレで受付を(^_^)!

ミネアポリスでの様子はここをクリック!

2007年5月、展示会は7番目の開催地、ミネアポリスのアートスクール、Minneapolis College of Art and Design (MCAD) のギャラリーへ。

ここは友人でもあり、マンガ研究の大学教授、フレンチーの誘いで、かの地で開催することに。実はその1年程前の3月、シカゴ(3番目の巡回地)で展示会を開催した折り、ちょうどフレンチーもシカゴに来ていて、偶然展示会を見る事に。すぐに彼女からメールが届き、ミネアポリスでもやってみないかの連絡。その時は巡回展示会は1年間の予定だったので、恐縮ながらも辞退したのだけれど、その後状況が代わり、巡回が2年に延長することに。それをフレンチーに伝えたら、ぜひにということでしきり直しで実現できたのが、このミネアポリスというわけ。いやー本当に縁というのは不思議なものですね。だめかなあと思っていても、縁があるところとは、こうなる運命になっているのですね。

正直、ミネアポリスという地にはそれほど執着していた場所ではなく、こんなことをいうと超失礼になるのですが、フレンチーとのおつきあいで、それではやってみましょうかというくらいののりだったのだけれど、ふたを開けてみて、本当にここで開催できてラッキーでした。さすが米国でコミック学部がある3大学の一つということで、写真からみてもわかるようにのりのよさ。それにもまして、夏休みに入っての開催ということで学生はそれほど集まらなかったのだけれど、まんがに興味のある人たちが子どもからお年寄りまでたくさん集まってくれました。特にフレンチーの関係で集まってくれたマンガ家のエリックやそして少女マンガ家希望者のメンター(指導者)でもあるラナが来てくれました。特にラナからは米国の少女マンガの卵達の現状の情報をたくさん教えてもらいました。スキャンレーションのことも実は彼女から実態を教えてもらったのですね。本当にマンガ情報収集の宝の山でした。ここで開催できてよかった。フレンチー様々です。

余談ですが、フレンチーは Mechademiaという、米国で初めての日本のマンガ&アニメに特化したアカデミックな論文集の編集者でもある。左がその第2集の表紙。テーマは 「Networks of Desire」。私も執筆を依頼されて、少女マンガ展示会の全体像を「Mirror of girls' desires」という副題で書かせてもらいました。フレンチーはもちろん主任大学教授で優秀な研究者でもあるのだが、とにかくバイタリティーのあるハイパーなアメリカのおばちゃん(昔のお姉さん)というとても気さくな人でもある。後に2008年春にマンガ研究でフルブライトを取り、3ヶ月ほど、日本に滞在することになるのだが、この時はもちろんそんなことはまだ知らない。(*ここの2月27日のブログの夏目さん訪問のところの米国の教授というのが実はこの人。そういえば夏目さんに徳さんもパワーは負けてもせんよと言われたっけ。褒め言葉なのかしら??? ^_^)

*以下メディア記事の参考例です。

Sunday, March 15, 2009

2007北米巡回展示会「Shojo Manga! Girls' Power!」報告その6 (1/29-3/16/07):ワシントンDC在米日本大使館文化ギャラリーにて




2週間前に巡回北米少女マンガ展示会のレポートをと書き始めて、また月日があっという間にたってしまいました。気を取り直して再び、2007年の2年前に。本当にちょうど2年前ですね。もうというかまだというか、米国巡回が北米巡回とカナダ&米国二カ国にまたがり2年の長丁場になりましたが、カナダのトロントから2007年1月今度は再びアメリカ、それもワシントンDCの在米日本大使館の保有するギャラリーで展示会をやれることになりました。その時の様子は下記の少女マンガ展示会サイト(Shojo Manga! Grils' Power!)にすでに2年前に立ち上げているので、ちょっと覗いてみてくださいね。

ワシントンDCでの展示会の様子はここをクリック!

さてさてここはどうだったかというと、たぶん立ち上げに一番苦労したところだったかもしれない。でも結果として展示が一番良かったのもここ。トロントの後の開催地を探していた私に、国際交流基金ニューヨーク事務所の松本さんから、日本大使館がとても良いギャラリー施設を持っているので、そこはどうですか?という連絡が。もちろんすぐに連絡を取り、トロントの後少し時間は空くけれど、2006年年明けの1月なら長期開催が可能との連絡を大使館ギャラリーからの回答。ヤッター!喜んだのも束の間、資金も展示準備&後片付けの搬入&搬出も全てこちらで持つとのことでというのが条件。今までの巡回の条件は各巡回地がそこでの開催費用と次の展示会場への作品搬出を持つというもの。開催できるということで浮かれて、条件のことをきちんと確認しておこなかった私のミス、、、といえばそうなのだけど。う〜ん。正直やるかどうか迷いました。資金よりも人のヘルプがないということはちょっと致命的。つまり展示のために私がそこまで出向いて全てを準備、そして展示が終了の際も、再度私が出向いてすべてを処理するということを意味するので、一人ですべてをするなんてとても無理。ここでまたう〜ん。とはいえ、DCで、それも大使館ギャラリーでやれるというのは確かにおいしい。そこでジョージワシントン大学の知人を頼りに、アニメ&マンガ関係のMLにメールを出し、DCで誰か展示の手伝いをしてくれる人はいないかどうかをまずは探してみることにした。いましたアニメクラブの代表者、クリスが手を挙げてくれました。結局どうにか少なくとも一人(>_<,,,)は手を貸してくれる人を見つけたのと、展示会終了日を、ちょうどその年ニューヨークで開催の米国美術教育学会 (NAEA: National Art Education Association)の学会の期間にあわせることに。これでニューヨークからDCに搬出のため、立ち寄り、そしてそこからチコへ帰るという展示会日程を組んだのですね。

展示会準備は同だったのかは、やはり涙の物語です。大使館公館関係の建物ということで、週末に建物へアクセスすることができず、なんとなんと展示会オープングの当日たった一日で展示準備をすることに。朝の7時から夕方9時まで14時間通しての準備はさすがに途中で腰がたたなくなるほど疲れきりました。さすがに4時過ぎに見るに見かねて大使館の方々がヘルプに二人きてくれました。涙涙。苦労したおかげと、最初から最後まで自分でやったので、とうぜん展示に関しては自分の好みにできました。つらい思いをしただけのかいはあったというものです。

またオープニングトークも火曜日という日にかかわらず200人余の方々が来てくれました。またワシントンポストに4回はじめ、多くのメディアに展示会のことが大きく紹介されたのもここDCです。以下その中からの参考例です。


ここではまた予想外のヘルブがたくさんありました。特に助かったのは、搬出の準備の際、同僚のテリサも学会先のニューヨークからDCまでわざわざ手伝いにつきあってくれるとの事。カソリックのあなたがマリア様に見えたわ。感謝。資金の方もJFNYの松本さんがミニグラント(追加の助成金)をDCの日系団体へ提供してくださり、そこからこの展示会へもサポートしてくれたのでした。終わりよければすべてよし。

ひとつ忘れられない出来事は、公使のお一人(男性)が少女マンガおたくとも言えるくらいの少女マンガファンで、お昼を一緒に2時間も少女マンガ談義に花が咲きました。年齢は私より少し上くらい。そういえばベネズエラ大使館の大使の次にお偉いとかいう(このかたは女性)も日本から毎月リボンを取り寄せて読んでらっしゃるという方もいらっしゃいましたっけ。いるんですね。日本の代表とし海外で働かれているこういった公館の方々にもコアな少女マンガファンが性を問わず、いらっしゃるんです。日本もまだまだ捨てたもんではない、とうれしく思いました。


Thursday, March 5, 2009

日米の比較において:美術教育にみる論文の傾向と方向性 (2005年)


もう4年も前になるのだが、永守先生からご依頼を受けて、美術科教育学会誌「美術教育学」26号 (2005年出版)の掲載論文18編を批評させてもらったことがある。正直とにかくしんどい作業で2005年の1月、日本に帰国したおり、ひと月ほど中野区立図書館に通い缶詰になって、書き上げた記憶がある。

既に査読された上で、学会誌上に掲載されたものを、米国で美術教育を受けた私が、つまり日本の美術教育の論文傾向に疎い私が批評する事自体が僭越であることは確か。とは思いつつ、「いや米国で教育を受けた徳さんの客観的批評が必要なんです。」と永守先生におだてられ、木に上ってしまいました。(客観的批評がこんなにしんどいとは、論文を読み始めてすぐに引き受けなければよかったと後悔しましたね)

しかしながら、正直日本の美術教育における研究傾向に興味があったのも事実。そこで、多岐にわたる研究論文の中身そのものの善し悪しを批評するのは不可能なので、日米の研究方法論の比較をしながら傾向を探ってみたいと思った。

米国では研究の方法が正しいかどうかによって、おのずと導かれる結論の信憑性そのものが問われることになるので、研究方法論の研究 (Research Methodology)はとても大事。特に、博士課程においては 「Qualitative & Quantitative Methodologies (質的&量的方法論)」は必須の学問。私はどうだったかというと、すべてを文章で叙述し、論理的につめていく「質的方法」は英語がハンデの私にとって、数字で客観的に証明できる「量的方法(統計学)」はやはり最良の方法論。結果的には「量的方法」をもとに「質的方法」でカバーという方法をとりました。特に母校であるイリノイ大学 (University of Illinois at Urbana-Champaign)は方法論研究では定評のある大学院大学だったので、量的&質的ともにとても良い先生が揃っていて、、、いやいや鍛えられました。

(そういえば博士課程では美術教育関係のコースではなくて、自分の研究テーマをサポートするために、研究方法論をはじめ認知心理学や比較言語学なんてのをとってましたね。今思うとそれがとてもよかったかなあ、、、その時の蓄えで今指導していますね。そろそろ蓄えもつきてきたので、もう一度学生にもどって勉強したいと思う今日この頃。しんどかったけど、振り返ってみて、勉強に専念できたというかせざるを得なかったあの10年、そしてその頃出会えた学友達は宝です  ^_^)

「家政婦は見た!!!」ならぬ「徳は見た!日本の研究傾向とその方法論」さてさて日本の美術教育界にはどういう傾向があるのでしょうか?興味のある方は下記をクリックして本文へどうぞ!(自分でいうのも何ですが、涙がちょちょぎれるくらいの労作です。この原稿を書いていた頃を思い出すとあの寒い東京の冬が目に浮かびます >_<,,,)

*オリジナルの草稿文全文(ただし各論批評は省略)はここをクリック!(PDF)(実際に学会誌に掲載されたオリジナル原稿は見つけることができなかったので、その前の草稿をここにリンク。後半部分はまだ添削してないブレーンストーム状態。見つけ次第最終版に差し替えます。)

2008年第32回InSEA世界大会概要集(校閲)奮闘記


下記、月刊『教育美術』12月号(11月末発行予定)に書かせていただいた『教育美術』12月号特集「InSEA世界大会in大阪を振り返る(仮)」の拙稿「第32回InSEA世界大会概要集(校閲)奮闘記」からの抜粋です。(*全文はこちらからクリック。PDFでリンクしてあります。)

特に英文で学会発表のためプロポーザルを執筆するにあたっての注意点を少し書かせてもらいましたが、頁の都合で多くは書けなかったので、注意点1、2、&3の下にそれぞれ追記(黄緑字です!)、そしてその原稿の最後に追記メモ書きいたしました。(ご参照の程。)

「大会に参加された方々は、五百頁余にも及ぶ分厚い概要集(日本語英語の二カ国語表示)を手にとられ、その大きさと質に驚かれた方も多いのではないでしょうか。その中一般公募の英文概要、約450件すべてを校閲編集したのが、実は米国からのボランティア五人の校閲メンバー(北カロライナ大のアーノルド博士、オール氏、加州大チコ校のコットナー博士、同校の学生アリッサ、アリソン、マウラ。写真参照)。プロポーザル数は二百件を超えることはないだろうという大方の予想をうらぎり、はるかに多い五百余件の募集が大阪には寄せられた。 これらを自分の仕事や学業と併行しながら、なおかつ英文校閲しただけではなく、プロポーザルの条件にあうよう編集作業も含め、約一月半で仕上げてくれた校閲メンバーにはただただ感謝の一言。

さてプロポーザル(概要)の英文校閲に携わり、 いくつか留意すべき点を下記に箇条書きに記すことをお許し願いたい。 今後プロポーザルを英文で作成する際に少しでも役立てていただければ幸いである。

1.プロポーザル規定条件の遵守: 通常プロポーザルは規定の語数(InSEA大阪では150字以内)の中で研究目的•方法論•結果(中間報告)、そしてこの発表を通して何を討議したいのかを明示することを求められる。特に英語ではこの目的(何のための研究そして発表であるのか)は不可欠。

(*追記)日本人、海外からの参加者に限らず、結構これを無視して勝手に書いていらっしゃる方が多かったのですね。それと日本人の方の場合、これはもう言語的問題というか日本語の特徴なので、日本人である私としては言いたいことはよくわかるのですが、文の最後まで読まないと、何を発表したいのかわからないというのも少なからずありました。まず何の研究で何を発表したいのか(結論)を先に明記。そしてその方法論等を後にというのが定型で、失敗しないプロポーザルの書き方です。たった150単語の中にすべてを箇条書きしなくてはいけないので、簡潔に明記が鉄則です。

2.専門用語の定義(意味)の明示:美術教育を専門とする関係者の学会であっても、筆者の意図する専門用語の意味を皆が共有しているとは限らない。簡単な説明もしくは例を示す必要がある。美術教育関係以外の人に読んでもらい意味が把握できるかどうか確認するのも良いかと思う。

(*追記)そうこれも良くあるケース。たぶん日本人的は発想として、こんな皆が知っているような事をわざわざ説明するのもどうかと思われるかと思いますが、皆さんが使っている専門用語の意味を皆が共通認識しているとは限らないことが多いのですね。すくなくとも簡単にどういう意味でご自分が使っているかを箇条書き(もしくは研究者の名前をそばに付記)にして、こういう意味、と示すのは必要だと思います。それに同じ単語でも専門によって使われ方が異なるケースもままありますので、異なる専門の方々が集まる学会等では必要です。

あっそうそう私は日本語になってしまっているカタカナ外来語の意味を理解するのに苦労しました。日本語でかけるものはやはり日本語で書いてほしいと思います。だいたいカタカナは、外来語であるということを示す、とても便利は言語形態ですが、そのオリジナルがどこの言語であるかまでは示せないので、大変です。せめてオリジナルの言語をやはり付記してください。例えば「ヒエラルキー (hierarchy)」。日本語で「階層」とか書きましょうよ。だいたい「ヒエラルキー」とは発音しないです。「ハイラーキー」です。一例ですが。(私も日本語の語彙力が衰えてきているので、このようなブログとか会話ではついつい出てしまいますが、論文等の公式文書にはできるだけカタカナを使わないように拙い努力をしております。)

3.ネイティブ(英語を母国語とする人)に内容確認: 文法が正しいからといって生きた文章であるとは限らない。その文章が英語として通じるかどうかの確認は必須。

(*追記)そうなんです。また校正者によって校正編集の癖、好みがありますから、例えネイティブの方に編集してもらってあっても、また別の人に見てもらうと、編集されたりしますので、どうかがっかりされないように。(私の原稿なんて、主人(英語の修辞学専門)に何度なおされたことか。米国在住20年の私がそうですから、、、、)ということで、第三者にきちんと見てもらうというのは、必須です。(日本語の論文であってもそうだと思いますので)

あっそれとです。日本人の参加者には英文と日本語の二カ国語での提出が義務づけられていましたが、日本語と英語のプロポーザルの中身が一致していない方もいらっしゃいましたよ。最初は日本語から私が翻訳しなおそうかとも思ったのですが、全部で500件のプロポーザルでしょ。時間が押し迫ってる中、ご本人に返却して書き直してもらう時間もないということで、主人と相談して、日本語を読まずに、英文だけを見て、それを英語としてなりたたせることに集中いたしました。(ということで、見る人が見れば、この日本文と英文とちょっと違うんじゃない?と思われる方もきっといらっしゃることでしょう。それはこういうことです。ご了承の程。

 最後に大学の美術教育学部の中、もしくは大学院レベルにおいて、英文でプロポーザルを書かせるのを課題として訓練する必要性を感じる。将来を担う学生達にも今後グローバルな視点から日本の美術教育を外にも発信していってもらいたいと思う。

(*追記)これはもう絶対に大学授業内で必須にすべきだと本当に徳は思います。たった150単語、されど150単語なんですね。この短い文の中に、いかに明確に自分の研究内容をそして発表したいことをきちんと記載できるかどうかは、とても大切な事ですし、長ーい英論文を書く前に、これでまずトレーニングすることをお勧めします。

追記コメントは以上です。最後に、インシア参加者の皆さんはプロポーザル提出の後、それがどのように校正されているのか、確認された方は少ないと思いますので、もう一度インシアの概要集を御覧になって、ご自分の英文がどのように校正編集されたのか一度御確認いただければと思います。皆さんそれほど変わってない(もしくはプロの方もしくは英語のネイティブの方に提出前、編集をお願いしているのでそのまま掲載されている)と思われるかもしれませんが、実はほとんどの方のものを、多少なり編集してあります。私の記憶では日本人の方の提出されたプロポーザルで校正せずにそのまま掲載したのは、1、2件しかありませんでしたので。次なるプロポーザル提出にはこの校正編集文をご参考に、お役にたてていただければ幸いです。