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Thursday, March 5, 2009

2008年第32回InSEA世界大会概要集(校閲)奮闘記


下記、月刊『教育美術』12月号(11月末発行予定)に書かせていただいた『教育美術』12月号特集「InSEA世界大会in大阪を振り返る(仮)」の拙稿「第32回InSEA世界大会概要集(校閲)奮闘記」からの抜粋です。(*全文はこちらからクリック。PDFでリンクしてあります。)

特に英文で学会発表のためプロポーザルを執筆するにあたっての注意点を少し書かせてもらいましたが、頁の都合で多くは書けなかったので、注意点1、2、&3の下にそれぞれ追記(黄緑字です!)、そしてその原稿の最後に追記メモ書きいたしました。(ご参照の程。)

「大会に参加された方々は、五百頁余にも及ぶ分厚い概要集(日本語英語の二カ国語表示)を手にとられ、その大きさと質に驚かれた方も多いのではないでしょうか。その中一般公募の英文概要、約450件すべてを校閲編集したのが、実は米国からのボランティア五人の校閲メンバー(北カロライナ大のアーノルド博士、オール氏、加州大チコ校のコットナー博士、同校の学生アリッサ、アリソン、マウラ。写真参照)。プロポーザル数は二百件を超えることはないだろうという大方の予想をうらぎり、はるかに多い五百余件の募集が大阪には寄せられた。 これらを自分の仕事や学業と併行しながら、なおかつ英文校閲しただけではなく、プロポーザルの条件にあうよう編集作業も含め、約一月半で仕上げてくれた校閲メンバーにはただただ感謝の一言。

さてプロポーザル(概要)の英文校閲に携わり、 いくつか留意すべき点を下記に箇条書きに記すことをお許し願いたい。 今後プロポーザルを英文で作成する際に少しでも役立てていただければ幸いである。

1.プロポーザル規定条件の遵守: 通常プロポーザルは規定の語数(InSEA大阪では150字以内)の中で研究目的•方法論•結果(中間報告)、そしてこの発表を通して何を討議したいのかを明示することを求められる。特に英語ではこの目的(何のための研究そして発表であるのか)は不可欠。

(*追記)日本人、海外からの参加者に限らず、結構これを無視して勝手に書いていらっしゃる方が多かったのですね。それと日本人の方の場合、これはもう言語的問題というか日本語の特徴なので、日本人である私としては言いたいことはよくわかるのですが、文の最後まで読まないと、何を発表したいのかわからないというのも少なからずありました。まず何の研究で何を発表したいのか(結論)を先に明記。そしてその方法論等を後にというのが定型で、失敗しないプロポーザルの書き方です。たった150単語の中にすべてを箇条書きしなくてはいけないので、簡潔に明記が鉄則です。

2.専門用語の定義(意味)の明示:美術教育を専門とする関係者の学会であっても、筆者の意図する専門用語の意味を皆が共有しているとは限らない。簡単な説明もしくは例を示す必要がある。美術教育関係以外の人に読んでもらい意味が把握できるかどうか確認するのも良いかと思う。

(*追記)そうこれも良くあるケース。たぶん日本人的は発想として、こんな皆が知っているような事をわざわざ説明するのもどうかと思われるかと思いますが、皆さんが使っている専門用語の意味を皆が共通認識しているとは限らないことが多いのですね。すくなくとも簡単にどういう意味でご自分が使っているかを箇条書き(もしくは研究者の名前をそばに付記)にして、こういう意味、と示すのは必要だと思います。それに同じ単語でも専門によって使われ方が異なるケースもままありますので、異なる専門の方々が集まる学会等では必要です。

あっそうそう私は日本語になってしまっているカタカナ外来語の意味を理解するのに苦労しました。日本語でかけるものはやはり日本語で書いてほしいと思います。だいたいカタカナは、外来語であるということを示す、とても便利は言語形態ですが、そのオリジナルがどこの言語であるかまでは示せないので、大変です。せめてオリジナルの言語をやはり付記してください。例えば「ヒエラルキー (hierarchy)」。日本語で「階層」とか書きましょうよ。だいたい「ヒエラルキー」とは発音しないです。「ハイラーキー」です。一例ですが。(私も日本語の語彙力が衰えてきているので、このようなブログとか会話ではついつい出てしまいますが、論文等の公式文書にはできるだけカタカナを使わないように拙い努力をしております。)

3.ネイティブ(英語を母国語とする人)に内容確認: 文法が正しいからといって生きた文章であるとは限らない。その文章が英語として通じるかどうかの確認は必須。

(*追記)そうなんです。また校正者によって校正編集の癖、好みがありますから、例えネイティブの方に編集してもらってあっても、また別の人に見てもらうと、編集されたりしますので、どうかがっかりされないように。(私の原稿なんて、主人(英語の修辞学専門)に何度なおされたことか。米国在住20年の私がそうですから、、、、)ということで、第三者にきちんと見てもらうというのは、必須です。(日本語の論文であってもそうだと思いますので)

あっそれとです。日本人の参加者には英文と日本語の二カ国語での提出が義務づけられていましたが、日本語と英語のプロポーザルの中身が一致していない方もいらっしゃいましたよ。最初は日本語から私が翻訳しなおそうかとも思ったのですが、全部で500件のプロポーザルでしょ。時間が押し迫ってる中、ご本人に返却して書き直してもらう時間もないということで、主人と相談して、日本語を読まずに、英文だけを見て、それを英語としてなりたたせることに集中いたしました。(ということで、見る人が見れば、この日本文と英文とちょっと違うんじゃない?と思われる方もきっといらっしゃることでしょう。それはこういうことです。ご了承の程。

 最後に大学の美術教育学部の中、もしくは大学院レベルにおいて、英文でプロポーザルを書かせるのを課題として訓練する必要性を感じる。将来を担う学生達にも今後グローバルな視点から日本の美術教育を外にも発信していってもらいたいと思う。

(*追記)これはもう絶対に大学授業内で必須にすべきだと本当に徳は思います。たった150単語、されど150単語なんですね。この短い文の中に、いかに明確に自分の研究内容をそして発表したいことをきちんと記載できるかどうかは、とても大切な事ですし、長ーい英論文を書く前に、これでまずトレーニングすることをお勧めします。

追記コメントは以上です。最後に、インシア参加者の皆さんはプロポーザル提出の後、それがどのように校正されているのか、確認された方は少ないと思いますので、もう一度インシアの概要集を御覧になって、ご自分の英文がどのように校正編集されたのか一度御確認いただければと思います。皆さんそれほど変わってない(もしくはプロの方もしくは英語のネイティブの方に提出前、編集をお願いしているのでそのまま掲載されている)と思われるかもしれませんが、実はほとんどの方のものを、多少なり編集してあります。私の記憶では日本人の方の提出されたプロポーザルで校正せずにそのまま掲載したのは、1、2件しかありませんでしたので。次なるプロポーザル提出にはこの校正編集文をご参考に、お役にたてていただければ幸いです。

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