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Sunday, February 22, 2009

全造アートMLへの投稿文(2/15/09):「対話型鑑賞教育」と「VTS」の関連 その1

下記川島先生の投稿へのコメントして投稿したものです (2/15/09)。

川島先生 皆様

私の名前が出ていたので、ちょっとびっくり。この私のブログ内のVTS記事のことは、まだほとんどの人には知らせてなく、自分自身で日本の美術教育界で普及しはじめたという「対話型鑑賞教育」と「VTS」の関連を確認してから、このMLでもお知らせしようと思っていたので、、、川島先生のメールに私のブログ記事が既に紹介されていたので、驚いている次第です。さすが早いですね。

ということで、ちょっと私のブログ内容だけでは、誤解があるといけないので、ここに補足させていただくことをお許しください。(長文かと思います。ごめんなさい >_<,,,, 興味のないかたはどうかとばしてください。)

実はこの1月、日本の学校を回っていて、よく耳にしたのが、この「対話型鑑賞教育」という言葉で、このMLでも先の北海道の山崎先生のご紹介のように、頻繁に耳にするようになりました。ざっと内容を聞いたかんじでは、ニューヨーク近代美術館の元美術教育主任であるヤノワイン氏が1990年代にはじめた VTS (Visual Thinking Strategy)と酷似していたので、これとアメリアさんという方が勧める VTC (Visual Thinking Curriculum)との違いを検討していたところです。

正直いって、米国の美術教育界では、ヤノワインはVTSの推進者としてとても有名人です(学校教育の中で彼は鑑賞教育推進のカリスマ的存在で、特に女性の先生の中で絶対的な人気で、米国で一番大きな美術教育学会「NAEA:National Art Education Association」で、彼の講演はいつも一杯でした)。が、アメリアさんのことは正直、少なくとも美術教育界の中では、あまり聞いたことがなかったので、なぜ日本で話題になるのか気になっていました。(日本での関連出版物を読んでいないので、私が無知なだけかもしれません。どうか失礼をお許しください。)

いろいろ調べていますが、今でもこの「VTS: Visual Thinking Strategy」と「VTC (Visual Thinking Curriculum)」の関係が私の中でもよく把握しきれていません。私が想像するに、たぶんヤノワインがNY近代美術館を離れた後、そのVTSを元に、もっとわかりやすく発展させたのが、VTCなのかとも思ったりします。間違っていたらご指摘願います。理論的背景として、VTSが美学者、アビュゲル ハウセンの「美学理論(5つの段階説)」を元に、鑑賞教育プログラムとして発展させたことは、周知の事実ですが、このVTCはハーバード大のプロジェクト0(ゼロ)とも関係しているようなので、ということは、あの超有名人、ハワード ガードナーの「Multiple Intelligence 理論」をバックにしているのかとも考えたりしています。どなたか回答して下さる方がいらっしゃれば、幸いです。もしくは近々日本にいらっしゃるアメリアさんご自身に聞いていただき、ご教示いただけるととても助かります。

実は、米国での鑑賞教育については、愛知教育大の藤江先生の依頼を受けて、だいぶ前(2001年?)に日本語でも原稿を書いたことがあります。この中で DBAE (Discipline-based Art Education: 現在では「Comprehensive Art Education」という名で普及)における鑑賞教育方法について、そしてVTSについても、具体的に解説してありますので、興味のある方は添付PDF原稿をご参照ください。いつか日本語原稿がある程度の数にまとまり、機会がありましたら一冊の本にしたいと思っています(^_^)。(*またVTSの長所と弱点を調べるために、統計でまとめたデーター論文も実はあります。これは院生の時のもので、英文しかありませんが、ご興味のある方はお送りします。お知らせください。)

最後に、今回日本の学校を回ってみて、皆さんが私のことを「まんがの研究」をしている人と誤解されているということを発見しました。少女マンガの巡回展示会をやったりしているのと、最近「Visual Pop-culture (視覚大衆文化)」というテーマで話す事が多いので、そう思われたかもしれませんが、私の研究テーマは元々、認知心理学関連で「こどもの描画に現れる認知と美学の発展の文化的比較」です(笑)。その比較の中で、特に空間を構築する際に、日本のこどもの表現方法が特異的で、その理由のひとつとして、米国の美術教育で今最もトレンドなテーマ「Visual Pop-Culture (視覚大衆文化)」の影響、つまり日本では、「マンガ」がその最たるものということで、ふかーいマンガの道に足を踏み込んでしまったわけです(>_<,,,)。

つまり、マンガが、こどもの認知や社会にどのような影響を与えているのか、と調べ始めて現在にいたっていますが、あくまでも発達に影響を与える理由のひとつとしての「マンガ」の特徴研究です。ということで、私の永遠の研究テーマは今でも「描画をもとにした認知発達比較論」で、私が実際に大学で指導しているのは、その研究に関連づけて、「美術教育カリキュラム理論と実践」と「鑑賞教育学」です。

すみませーん。どうでもよい話しなのですが(笑)、「まんが研究者」とレッテルを貼られるのは、少々不本意なのと(真のマンガ研究者に対して失礼なので)、ここに訂正させていただくことをどうかお許しください。本当にどうでも良い話しですね。長文大変失礼いたしました。

*下記、VTSの取材記事とそれにコメントを付けたブログです。(川島先生のメールを読む前に書きましたので、ちょっと前後していますが、そのままにしてあります。)

対話型鑑賞教育について(徳ブログ「Visual Pop-Culture」2/2原稿):http://visualpopculture.blogspot.com/search/label/対話型鑑賞教育%20%28VTS%29

*下記サイト、ヤノワインのVTS並びに執筆本紹介のサイトです。良い本です。ご参考まで。

VTS (Visual Thinking Strategies) ホームページ

フィリップ ヤノワイン (Philip Yenawine) の本紹介例 (Click here to access examples of Yenawine's publications!)

アメリア アレナス (Amelia Arenas) 情報 (Click here to access examples of Arenas' information!)

それではそれでは、お騒がせしました。

徳 雅美 拝

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