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Friday, June 4, 2010

美術教育関連NPO法人 CANVASの依頼原稿:米国の美術教育の現状について

美術教育関連NPO法人 CANVASの依頼を受けて米国の美術教育の現状について原稿を書くことになった。ちょうど学年末の忙しい時期に重なってしまったので、思ったより少々しんどい思いをしたけれど、書い進めていくうちにのってしまって、どのへんでまとめようか(止めようか)まよってしまった。思えば書く事は一杯あるなあと思いながら、このへんでというところで止めたので、少々消化不良気味の原稿になってしまった。それでも結構それなりにまとめられたのではないかと思う。いつものごとく、Informative(情報満載)な内容を目指しました。

<コラム シリーズ第2弾>海外の美術教育事情について

第3回アメリカ

(カリフォルニア州美術教育プログラムを元に) 

Tuesday, May 18, 2010

HFA ceremony



毎年学年末になると、それぞれの専門大学(カレッジ)や学部でいろいろなセレモニーやイベントが開催される。我が芸術学部が所属する HFA (Humanities and Fine Arts:人文&芸術)でも、それぞれの学部から選抜された学生を祝うセレモニーが開催される。一人一人の名前が呼ばれ、メダルやプレゼントが渡される。ビデオはそれを祝うショー。HFAはシアター(舞台芸術)や音楽学部も含まれているので、こういったショーで盛り上げてくれる。(もちろんみな学生達である。)

MFA Guest Speaker to Art100 class (5/13): Sandi Costova


MFA(Master of Fine Arts:陶芸の大学院生)の学生であるサンディを招待して、うちの鑑賞学クラス(Art100: Art Appreciation-multicultural perspective)、今学期最後のクラスで彼女の作品を紹介してもらった。その時の様子。一般講義だけでなく、生のアーティスに来てもらって、実際の今のアートについて講義してもらうのはやはり興味深い。いつもは学部の先生方を招待していたのだけれど、今年はちょっと趣向を変えて、卒業する大学院の学生を招待することにした。サンディはラティーノ(中南米出身)の血を受け継ぐ、こころ優しい学生で、優れた大学院学生に贈られる賞を得た優秀な学生でもある。うまくいったら次回から学生を毎学期少なくとも一人は呼んで講義をと思っていたので、もち大成功の今回、そのアイディアを継続することにした。今回は卒業式直前ということもあって、サンディのご両親も入らしていたので、一番前の席で見学してもらいました。さぞやほこりに思った事でしょう。同じ親としてとても気持ちはわかります。Sandi, thanks for coming! I am sure that your parents must have been proud of you!!!

Monday, May 17, 2010

2010年度第三回美術教育展示会: The 3rd Juried Art Education Show (4/29-5/20)

第三回美術教育展示会のスタート。美術教育学生クラブ "DADA"の主催。今年は「4コマアート展示会」との合作ということで、にぎやかに開催。

写真上2つはオープニング(5/5)の時のもの。4コマアート展に参加してくれたこどもだちとその保護者(海とジョンも一緒に)。そして、2つ目は恒例となった美術教育学生のアートショーを2007年に立ち上げた4人の元美術教育学部の学生(左からロビン、アシーナ、私、デニース、アロマ)。今回は作品を選ぶ選考委員としてご招待。優秀賞と特別賞を選んでもらいました。

最後の2枚は、一般教養「鑑賞教育」の学生達をつれてのツアー写真(授業の一環として)。自分の好きな作品をひとつ選ばせて、「批評文」を書かせる課題を与えているところ。まじめに書いてる書いてる〜。今年は大学内外の展示会に三回も参加。実際に作品を見学しての講義はやはり違いますね。

Friday, April 23, 2010

教育美術での連載 (2010-2011):子どもの視点ー世界は今どうなっているのか?

「教育美術」という月刊誌がある。何度か単発で米国の美術教育事情などの情報を書かせてもらっている。私がイリノイ大の大学院生だったころからだから、すでに10年以上のおつきあい。今回2008年度から細々とはじめた巡回展示会「僕らの声:世界はどうなっているか?(Children's Voices: What's Going on in Our World?)」のことを毎月連載で書かせてもらうことになった。前々から連載で書きたいと思っていたので、とてもありがたい。

昨年2009年度より、USSEA(United State Society for Education through Art)の児童画展示会ディレクターとしての仕事を引き受けているので、このUSSEAや InSEA (International Society for Education through Art)学会に合わせて、この展示会も巡回することになっている。その作品公募を日本でやるためにも、この連載の仕事はとてもありがたい。しかしそれ以上に、今まで集まったこどもたちの作品を毎月テーマを決めて選び出し、比較することによって、そのこどもたちの属する社会や文化の相違も分析紹介させてもらっている。千から千五百字のそれほど長くないコラムの中に、毎月いろいろ書かせてもらっている。これがやってみて、自分が想像していた以上におもしろい。

毎月の締め切りに追われながらも、今月はどの絵をそして、どのように比較分析、そして社会事情をからませながら、説明できるか、自分でも結構はまってやっている。

来年の3月までの一年間書かせてもらうことになっているので、一年通して振り返ってみると、結構おもしろいものになるのではないかと自分でも楽しみ。

Monday, April 19, 2010

BFA & MFA Show at CSU-Chico (4/13/10)

毎学期うちの芸術学部では、BFA (Bachelor of Fine Art) とMFA (Master of Fine Art)の学生達の作品ショー並びにクリティック(批評会)が外部にもオープンの形で開催される。

その時間帯は直接関係のないクラスであっても(例えば、美術教育や美術史)、通常の授業ではなく、これらのショーに参加する形で行うのが通常。

というわけで、私もツアーとしてして、学生たちにそれぞれのスタジオを回らせて、作品の特徴やショーの様子を記録提出させるようにしている。

写真がその時の様子。毎学期異なる学生が作品作りを行っているので、もちろん毎学期違うものの、指導教官の好みで作品に顕著に現れていたり、また逆に学期学期で異なる作品群、その時代時代のはやりすたりというか、傾向が全体を通して見えてくるのがおもしろい。

(写真はBFA show 展示場、Kelly King の作品。私はこの作品群のちょうど真ん中のものを購入しました。額付きで$72でした。)

Saturday, April 17, 2010

2010 米国美術教育学会報告其の三 (4/13-4/18): 2011年度開催地シアトルでの展望

実はもう既に5月、というのにタイトルだけあげて、なかなか中身を更新できないでいるこのブログを少しつづ書き始めている。

さてちょっと逆になるが(先のボルチモアでのNAEA学会の報告を書いてから、来年のことを紹介するつもりだったので、、、)、先に来年シアトルで開催予定のNAEA (National Art Education Association)学会の紹介を先に。

西高東低ならぬ西低東高なのが、米国美術教育大学の現状。どういう意味かというと、中西部から東海岸の大学が美術教育が盛んで、西海岸は少し活気がない。西海岸に博士課程を持つ大学がないこともそれを裏付けている。(実はシアトルのあるワシントン大学やご存知アイスナー博士のいたスタンフォード大学には数年前まで、博士課程が存在していたが、かれの退職と共に、美術教育学部そのものがなくなってしまった。もともとスタンフォードはアイスナーの名前で持っているようなところがあって、学生も毎年一人しかとらなかったので、とても小さな学部だったことは確かだけど、、、)

ということで、何をいいたかったかというと、NAEAの学会が毎年開催される場所は中西部や東海岸がほとんどで、西海岸にやってくるのは7~10年に一度という状況。そういうことなので、来年西海岸へ、それもシアトルでの開催は初めてなので、今から私たち西海岸組はわくわくしているというわけ。それに伴って、いろいろなワークショップやシンポジウム開催のプランが動き始めている。

2010 米国美術教育学会報告其の二 (4/13-4/18): 「米国の悲劇日本の悲劇」

すご〜い何か物議をかもしだしそうなタイトルをつけてしまったけれど、言いたかったことはひとつ。美術教育の抱える基本的な問題は国を超えていっしょだけれど(つまり日米ともに)、それに対応する方向性が全く逆のような気がつくづくする。

今回ボルチモアのNAEAに参加してそれが特に強く今回は感じた。とちらかがよいというのではなく、実は両方とも問題である。

美術教育の対象テーマが米国の場合(もちろん他諸国もそれに追随している)拡大を続け、美術教育と他の学科との境界がますます希薄になってきている。それは昨今の美術/芸術そのものの定義の変化(拡大解釈)に伴うものであり、美術を米国ではすでに「Fine Art 」から「Visual Art」と呼ぶようになって久しいところからもわかる。つまり視覚的なものなら何でもありで、そこから昨今の美術教育のメインテーマであった「Visual Culture」に行き着くわけだが、それが対象テーマの拡大のみならず、テーマ哲学そのものの拡大にまで行き着いたのが、今回2010年度のテーマ「Social Justice」。これには賛美両論あるだろうな。きっと。

さてさて日本の問題は何か?正直日本の美術教育には所属していないので、あくまでも米国の立ち位置から俯瞰してみた私の個人的感想に過ぎないのだけれど、「美術教育にしかなしとげないもの」という部分に固執しすぎているような気がする。つまり米国の美術教育を「知性の発達に関わる教育」という風においてみたら、日本の美術教育がいまだ「感性の教育」にこだわっている点である。(そうでないと言われるかもしれないが、距離をおいてみてみるとそうとしか見えない。)もちろん理想は素晴らしい。米国の知性の教育である美術教育の最終ゴールもやはり実は感性を育てる教育が理想なのである。ではなぜ、米国はそれを言わないのか、答えは簡単。その感性が高められたかどうかを計る明確な手段/方法がないからである。感性が高まったかどうかを客観的にきちんと証明できることが可能かどうか、それにつきるのである。(見ればわかるでは誰も納得できないのである。)さて、日本はこれからどこへ行こうとしているのか?

2010 米国美術教育学会報告其の一 (4/13-4/18): 2010年度のテーマ考察「Social Justice」

今回のボルチモアの学会は2年振りの発表ということで、パネルディスカッションもあわせて、4つの発表があったので、実は他の発表を聞く機会がなかった。でも4つの発表の内、パネルが2つあり、結果そのパネラーの発表を聞くことができたので、良い経験をさせてもらった。

その他、ボルチモア滞在に関して言えば、今まで以上に楽しめた。当初はワシントンDCでの開催が予定されていたが、別の大きな学会と重なり、学会会場が確保できないということで、急遽近くのボルチモアでの開催となった。(なんでも800件以上の発表&ワークショップを開催し、5千人の参加者をまかなうということになると、そう簡単に代替場所は難しいらしい。納得。)結果よかったのである。ボルチモアがこんなに素敵な都市とは知らなかった。

写真は例の「Visionary Museum」に行く途中見かけたアメリカ国旗。ちょっとちがうのがわかりますか?そう星の数が少ないのですね。南北戦争前のもの。これを見た時、アメリカ史を知らない私でも、少々感慨深いものがありました。200年には200年の歴史があるのですね。

ということで、今回のブログのタイトル「Social Justice」。今年の学会テーマが「社会的公平さ/正義」とは、どうなっているの?もともと米国はこの国旗でもわかるように、もともと人間は弱く公平さに欠く存在であり、それだからこそ皆でそれを追求する必要があるという姿勢が社会の中に満ち満ちている国。特定の学科に限らず、ほとんどの学科でこのテーマに関する授業は行われているので、特別に驚くことは何もないのだけれど、あえて「美術教育」のテーマとして特定するにはやっぱり、おやと思わずにいられない。

このテーマをどの切り口からせめていくのか?

いずれにしろますます「作品制作」より「批評」の方にシフトしているのが、米国の美術教育であることは間違いないですね。それでいいのか?アメリカ?いいのか悪いのかについて、もしくはまたこれらの方法論について、これから侃々諤々、口角泡を飛ばし、ロープをはって(笑)、討論がすすむことにこれからしばらくはなるでしょう。