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Sunday, December 19, 2010

桃太郎の国にてトーク&討論会11月20日(その二):Talks at Momotarou (Peach Boy)'s country

岡山での講演について続きを書いていたら、思っていたより長くなってしまったので、午後の講演は改めて、別枠でここに記載することにしました。(*午前の講演についてのブログはここをクリック!

午後は、岡山県保育士養成協議会保育士養成研究会研修会でのトークということで、ご専門はみなさん岡山県の幼児&保育教育に携わる方々の前で、「国際的視点による保育士養成のための量的研究の必要性:米国での研究環境とビジュアルカルチャーの世界的調査から」という演題で話しをさせていただいた。午前と異なり、今回は皆さん幼児教育の専門の方々。私自身美術教育の専門で、畑違いの私の話しで申し訳ないという気持ちの中、博士号を習得した際の研究テーマである「描画の発達論の日米の比較研究」で使用した量的方法論(統計学)と同テーマを愚息の描画の発展プロセス(1才〜12才)をおった「ケーススタディ(質的方法論)」を比較するという形で、同方法論の差異と必要性について、話しをさせていただいた。その後の時間を利用して、午前でもお話しした、現在自分が学部の査定委員会の長を勤めさせている関係で、大学の教員がどのように査定され、評価されるのかのシステムも少し説明させていただいた。

今回もまた皆さん真摯に聞いてくださり、また興味深いご質問をいくつも受けた。その一つ「日米の研究環境の違いもさることながら、日米に限らず大学教員としての多忙の時間の中、どうやって研究への時間を作るのか?」といったご質問が印象深かった。あまり日本の先生方はご存じないことと思うが、私たち米国で大学をはじめとする教員(実は義務教育の小中高校の先生方も含めて)は勤務は10ヶ月でのサラリー契約で仕事をしているのが常。夏休みの2ヶ月はお給料なし、つまり仕事をする義務が基本的にない。(もちろん実際には、10ヶ月のサラリーを12で割って、毎月給与は支払われるが、、、)その間プラスαのお給料が欲しい人は、夏の期間も夏学期として授業を教えて給与を得る事ができる。一方私のようにその間、集中的に研究に時間を費やしたい人は、大学内外の研究助成金を申請して、それで生活というケースも多い(助成金がとれるかどうかはもちろん競争の結果)。それを考えると1年間の勤務という仕事体系(休みは有給という考え)を持つ日本と、基本的に9-10ヶ月の仕事勤務拘束で残りは無休で研究へ(もしくは完全休養)という体系では、大きく研究環境も異なるのは必須。そう日本の先生方が通常のルーチンワークに忙殺されて、研究の時間がとれないのは、こういう勤務形態によるものだと思うのですが、どうでしょう。

私の研究パートナーでもある美術教育界では重鎮のブレントウィルソンが前に香港で客員教授で一年間滞在していた時に、アメリカでよりずっと仕事をさせられているとぼやいていました(笑)。お金はなくても研究環境をという理念が体制として根付いているのかと、、、こちらではたぶんそういうことなのだと思います。(でもそれよりお金が、、、という人もたくさんいます。毎回、研究助成金申請のプロポーザル作成におわれている私も、時々お金が天から降ってこないかなあと思ったりします。笑。)この勤務体系で長年続いている日本の大学システムでは、今更2ヶ月の完全休暇を与えるから、その分2ヶ月のお給料なしというわけにはいかないでしょうし、、、なかなか現状では研究環境を変えるというのは至難といわざるを得ないかと、個人的にはそう思います。)

さて、幼児教育で美術をこどもたちの認知発展サポートに使われている方々もたくさんおられます。日本の幼児教育は米国でも評価が高いので、こどもの描画(美意識)発展比較研究をライフワークと考えている私にとって、この専門分野の方と一緒に時間を過ごせたのはとても光栄なこと。いつか機会がありましたら、特別テーマとして「幼児教育における美術教育」が存在する NAEA (National Art Education through Art:米国美術教育学会)で共同発表いたしましょう。それにしても岡山はすごいですね。大学の枠を超えて、こういう研究組織が出来ているというのは希有なことではないでしょうか。素晴らしい(^_^)!

最後に、ここに掲載の写真ですが、一番上は、今回私をご招待してくださった前嶋先生と奥様の慶子さん。講演を無事終え、最後に素敵な喫茶店でほっと一息(もちろん私だけでなく、たぶん私以上に先生も奥様も^_^)のおいしい有機コーヒーをいただいた時にパチり。下の写真は、桃太郎にはつきもののお猿さん。なんとこれは前嶋先生が大学院の学生だった時の作品だそうで、岡山駅近くにいくつかあります。先生は彫刻家でもあるのですね。すごい!夕日が暮れなず〜む日本画の構図のようなものは、その茶店近くの確か旭川という大きな河にかかる橋の情景。大きな街には大河あり。これは世界どこでも共通のユニバーサルな条件ですね。

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