Masami Toku on Flickr

MasamiToku. Get yours at bighugelabs.com/flickr

Friday, September 10, 2010

教育美術連載 (2010年8月号):4コマアート作品の比較分析&描画発達論考察

(写真1)2010年度参加者作品31点(マリーゴールド小学校6年生)

4コマアート巡回展示会作品紹介(8月号)

2011年度米国美術教育学会に向けて:

4コマアート作品の比較分析&描画発達論考察

July 2, 2010


先日7月1日(米国時間6月30日)締め切り寸前に来年度2011年度NAEA学会(National Art Education:米国美術教育)へのプロポーザルを提出。ほっと一息。毎年3月か4月に米国の都市で開催される米国(世界?)最大の美術教育関連の学会で、例年5千人前後の参加者がある。2011年度は、前回2000年ロスアンジェルスで開催されて以来、久しぶりに西海岸へ、それもNAEA創立(1947年)以来初めてシアトル(3/1720)での開催。カリフォルニア在住の私にとってはうれしい限り。はりきって同僚&友人達と太平洋を臨む地域である米国西部そして環太平洋文化諸国を中心とした美術教育を基軸にパネルディスカッションを組む事にした。題して「Ring of Fire Forum」。昔アイマックスシアターでパノラマドキュメントを見て知った地学用語「環太平洋火山帯」から拝借した。ちょっと気を衒(てら)いすぎ?と思わなくもなかったが、これでよいと皆にほめられたので調子にのってそのまま出した。何せ、NAEAは例年千数百件を超えるプロポーザルがあり、その中から約半分6百件が発表許可を得るという競争率の高い学会である。皆もそれをわかっていて、落ちることを想定して一人数件を申請するのが常。今回私は三件を申請。その中の一つとして、この巡回展示会作品4コマアートの比較分析進捗状況を発表することにした。この4月より誌上をお借りして執筆させていただいている4コマ作品の比較分析は思いのほか楽しく、期待していた以上に多くのことを発見することができた。特に作品のテーマや表現方法の相違には、各作品の根底にある文化/社会的背景の相違が強く反映されていることを再確認することができたのは収穫だった。この比較分析の発表は意義あることではないかと思う。プロポーザル題には「 Tradition and Innovation in Cross-cultural Analyses of Children’s/Adolescent’s Art (子ども/青少年の描画比較分析における伝統と革新性) 」とつけた。結果は今年末までにメールで通知されることになっている。

ということで、今回も前置きが長くなってしまったが、図録掲載の各作品の比較分析ではなく、全体的な傾向について今回は簡単に触れてみたい。2008年以降各地より作品を収集しているが、その中で2年続けて「カテゴリーA」作品を提供してくれた学校にチコ市マリーゴールド小学校がある(図録参照)。前回2008年度は5年生だった彼ら彼女等が6年生になり、その成長を2度目の作品から見る事ができた。その中で特に顕著だったものの一つに、4コマのコマ割の変化があった。前回の参加の際、ほとんどのコマ割が同じように4分割(上下2つずつ)だったものが、今回は多種多様なコマ割に変化していた。コマの方向の違い、そして異なる形のコマの組み合わせなど多岐に渡っていた。またコマのわく線も直線からギザギザ線など、作品内容や感情によって異なったものを使用したり、あえてコマ線を一部排除して、「3つのコマ+全体をひとつの背景コマ」の4コマとして表現しているものもあった。なぜこうも変化したのか。各人に取材をしていないので、詳細は不明だが、まずこれが2度目の作品提供であり、前回の展示会を通して他の作品(日本人生徒)を目にし少なからず影響を受けたことも原因ではないか。また前回が宿題として各自自宅に持ち帰り、個人で作品を作成したのと異なり、今回は授業時間を利用して、クラスの中で作成したことが一番の理由ではないかと思われる。クラスの中で同じ場所時間を共有する中での作品作成。お互いの作品を気にしながらの切磋琢磨の作成風景を想像するのはそれほど難しいことではない。結果たくさんのそして魅力的な作品が出来上がったのである。この他分析結果詳細については、来年3月までにまとめてみたいと思う。

これら同6年生の31作品をテーマ別に分類した結果は下記の通り(写真参考)。

Animal Cruelty (動物虐待)*直接の虐待だけでなく、魚乱獲など現在話題になっている人間の行為が結果として動物生物の破滅に関与している主題作品も含む)」9点, Global Warming (温暖化問題)」4点、「Disasters (災害惨事)」4点、 「Deforestation (森林破壊)」3点、「 Life Cycles (Time Progression:ライフサイクル)」3点, Pollution (大気汚染)」3点, Others (その他)*この中に音楽や美術が教科の中から削減されること異を唱えている作品もあった。」5点。

No comments: