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Thursday, September 9, 2010

教育美術連載 (2010年7月号):「ディベイト(討論)」の国アメリカ「沈黙は金」の国日本

図1:図録7頁上段右「選挙」バラク オバマ (Barrack Obama) vs. ジョンマッケーン(John McCain) 米国6年生徒作品
図2:図録21頁上段右「真実の恐怖」米国美術教育専門の学生作品
図3: 図録30頁上段右「変化」シェパードふぇりー(ブッシュからオバマへ)米国一般教養クラス学生作品

その他関連作品:

図4: 図録26頁下段左「アメリカ:全てはかーペットの裏へ」(ニクソン:ホワイトゲート事件、クリントン:モニカ スキャンダル事件、Martha Stewart:米国のカリスマ主婦脱税事件)
図5: 図録30頁下段左「僕をリーダーのところへ連れてってくれ」(毛沢東)米国生徒作品アンディウオーホール

4コマアート巡回展示会作品紹介(7月号)
ディベイト(討論)」の国アメリカ「沈黙は金」の国日本:学校(美術)教育において政治を語ることはタブーか否か

渡米し20年経つ。息子の成長とともに学校教育に参加するようになって、日米の教育内容一般そして授業のアプローチの違いを痛感するようになった。その一つが「ディベイトの国アメリカ 沈黙は金の国日本」である。米国では、子どもでも社会問題に対して積極的に関わり、問題を調査、自分なりの回答を見つけるという問題解決能力を高める参加型アプローチをとることが多い。それを最初に感じたのが、1990年初頭、イリノイ州シャンペーン市で小中学校の美術教師として4年間教鞭をとっていた時のこと。当時大統領選挙選の真っ最中、こどもたちを二大政党である共和党と民主党のふたつのグループにわけ、それぞれの論点をまとめ長所弱点を討論させる授業を行っていた。自分の考えを論理的に説得力のある形で話すためには、異なる意見でも相手の話しをよく聞き、そしてまた理解することが欠かせない。討論の基本である「聞く」と「話す」のプロセスを学ぶという小学校3年生の授業。そのテーマが大統領選というところがアメリカ的である。政治の問題は大人の問題と子ども達に介入させないのが日本であるとしたら、早いうちから社会の問題を積極的に考え、参加させるというアメリカの社会的教育方法ともいうべきものに驚き、こういう教育を子どものときから受けた人たちにはとてもかなわないと正直その時思ったものである。 それから既に15年以上経つ。

さて個人的なことで恐縮だが、我が故郷奄美大島は普天間基地移設の候補地の一つとして徳之島が候補にあがり、今その渦中にある。この問題について、例えば、中学高校の授業の中で、誘致/非誘致のふたつの可能性でそれぞれの論点を絞り出して討論をする授業など行われる可能があるだろうか。日本の国民性を考えた時、日本の学校教育の中、例えば、社会、もしくは総合の時間で、これら感情的になりがちな問題を客観的に見つめ、両方の立場から討論討議をうながすような授業を実施できるような日が来るだろうか。正直想像しにくい。日本の教育にこれから必要なのは、将来生きて行くために、自分で考え自分で答えを見つけ出す能力を育てる教育であろう。それに美術教育は貢献できるのか。 世界は答えの簡単に出せない問題であふれている。

ということで、やっと本題に。4コマアート「僕らの声:世界で今何が起こっているのか」の日米から集まった作品中、今月は政治にからむ作品をご紹介。日本から参加した作品の中にはほとんど見る事ができなかったが、米国ではちょうど2008年の大統領選と重なった事もあり、「公募AB共に、選挙や政治をテーマにした多くの作品が集まった。以下図録に掲載されたものの中からの紹介である。

図1(図録7頁上段右)は「公募A」作品。「選挙」という題の小学6年生の作品。民主党オバマと共和党マッケーンの両陣営。それを応援する民衆の喧噪振りを幼い絵柄ながら的確に表現している。その他は皆「公募B」作品。図2(図録21頁上段右)米国美術教育専門の学生作品「真実の恐怖」。有名なムンクの「叫び」を元に、8年続いた共和党ブッシュの後、再び同党からマッケーンが選ばれたしまった時(当時の仮定)の恐怖を描いている。図3(図録30頁上段右「変化」)は米国で人気のシェパードフェリーの版画作品を元に、ブッシュからオバマへの政治変換を表しているが、ブッシュの絵三点の下に夫々「惨劇」「恐怖」「戦争」と記載しているのに、最後のオバマの絵の下に何も記載されていないところが逆に暗示的である。米国一般教養クラス学生作品。その他関連作品として、図4(図録26頁下段左「アメリカ:全てはかーペットの裏へ」) はバンクシーの作品を元に、政治的スキャンダルそしてそれを隠蔽しようとした行為を笑った作品(元米大統領ニクソン:ホワイトゲート事件、元米大統領クリントン:モニカスキャンダル事件、マーサ シチュアート:米国のカリスマ主婦脱税事件)。最後図5(図録30頁下段左)は、ご存知アンディウォーホールのシルクスクリーン「毛沢東」を元に4コマに仕上げた教員養成プログラムの学生作品。タイトルは「僕をリーダーのところへ連れてってくれ」。作品に隠された意味を皆さんで想像してみてください。私はというと、、、(本人に聞いているので、正解を知っていますが、いろいろな解釈ができるかと思います ^_^)

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